「弘山晴美のマラソン術」という副題がついているとおり、トラック競技からマラソンまでこなした弘山さんの練習方法や考え方のエッセンスがわかる本。著者は資生堂の監督であり、また弘山晴美さんのご主人でもある弘山勉さんです。
ビルドアップやインターバルでスピードを獲得し、それを元にペース走でスタミナを蓄える、という考え方です。そして、スピード練習の基礎として、筋トレや坂道トレーニングなどを挙げています。
トップアスリートは42.195kmは走りきれて当たり前なので、スピードのトレーニングがメインになるのでしょうね。そして、そのスピードでどこまで押していけるかが勝負になるのでしょう。
「走り込みでスタミナをつけた上に、スピードトレーニングを行って記録向上をするのではない」「スピードトレーニングはランナーのベースであり、マラソンの基本」と明記しています。また、LSDはお二人ともやらないそうです。最近の(初心者)市民ランナー向けの本では、LSDに重きを置いているのが多いですが、それらとは一線を画した本です。
一例として、インターバルのタイムの設定が書いてありました。3時間半だと
- 1000m 4分45秒、インターバル200m 80秒
- (レペ)1000m 4分30秒、インターバル200m 100秒
ただ、本書にも書かれているように、練習の仕方は一つではないし、このような練習ができるのは弘山さんが中学時代から基礎トレーニングを積んできたからだそうです。
LSDから入る本しか読んでいなかったので、本書のような考えに触れられたことは良かったと思います。いろんな考えがあるので、自分にあったトレーニング方法を見つけたいですね。
尚、本書には、フォーム改善のためのドリルや、ダンベルを使った体操、筋トレの方法など、スピード重視のトレーニングを取り入れるかどうかを問わず参考になることも沢山あります。また、食事や睡眠の重要性にもページを割いています。そして、時間を効率的に使うためにも、だらだらとゆっくり走るのではなく、スピードトレーニングが有効と言っています。
弘山さんの写真も沢山有ります。やはり、きれいなフォームですね。