「オペレーショナルエクセレンス」「製品リーダー」「カスタマーインティマシー」の3つの価値戦略から1つに絞って強化する必要がある。
オペレーショナル・エクセレンスは、経営実務面の卓越性を目指す。効率的な業務により、価格面での差別化を図る。
製品リーダーは、性能の限界を追求する製品を継続的に提供することに専心する。
カスタマーインティマシーは、顧客との親密性を徹底的に追求することを目指す。特定の顧客が欲するものの提供に心を砕く。独特のニーズを満たすことに特化し、ニーズを感知する関係を築く。都度の取引での利潤追求ではなく、顧客リレーションシップを提供する。
以下、本文から、キーワードをピックアップする。
- 失敗をする為には(P.31)
- よそに取られそうになったビジネスを維持しようと選択的に値引きをする
- 顧客サービスの強化のために人員を増強する。問題解決に人員を投入するのは、基本的なサービス提供過程の諸問題を覆い隠す、うわべだけの化粧直しに過ぎない
- 資本投下を遅らせ、会計上の操作で決算を実際より良いように見せる
- 「新規、改良」製品を売り出すが、それは形の上では新製品でも、買い手にとって意味のある実質面では代わりの無いものである。
- 競争の新しいルール(P.42)
- ある特定の次元の価値を卓越することにより、市場で最良の売り物を提供すべし
- 価値のほかの次元でも並みの水準は保つべし
- 年年歳歳価値を高めることにより、市場を支配すべし
- 比類のない価値を提供することに専心する、良く調整されたオペレーティングモデル(ビジネスシステム、社内の仕組み)を構築すべし
- オペレーショナルエクセレンスの鍵
- 最終需要者までの一貫した製品供給のプロセスと、コストと手間隙のわずらわしさを最小限にするように合理化された基本的サービス
- 標準化、簡素化が徹底し、管理が厳しく、計画が中央で練られるために、一般従業員に決定の委ねられる余地が殆どないオペレーション
- 一貫性のある、信頼できる、高スピードの取引と標準順守の姿勢に焦点を当てた管理システム
- 無駄を嫌い、効率を重んずる社風
- 製品リーダーの鍵
- 焦点は発明、製品開発、マーケット発掘の核となるプロセスにおくべき
- ビジネス構造はゆるい編成で、問題別に特別班をつくり、かついつでも変更可能な体制に。未開拓の分野での仕事に必要な起業家的イニシアティブや方向転換にあわせるためである。
- 管理システムは結果重視で、新製品の成功を正当に評価して、それに十分の報酬を与えるとともに、そこに到達する為に必要な実験を罰しないものに
- 社風は個人の想像力、才能、型にはまらない思考、将来を創造したいと言う欲求にかられた心構えを刺激、育成するものに。
- カスタマー・インティマシーの鍵
- 核となるプロセスは、解決策の推進(顧客に何が今本当に必要なのかをわからせるよう手助けすること)、結果管理(解決策がうまく実行されるように見守ること)、及び関係維持管理の3段階に。
- ビジネス構造は、決定権限を顧客に密着している従業員に委任する形に
- 管理システムは慎重に選り抜かれ、十分に手なづけた顧客に良い結果が生まれてくるよう舵取りできるものに。
- 社風は一般的解決策より個別、具体的な解決策を重んじ、強くて長続きできる顧客リレーションシップを繁栄の基礎とするものに
3種のうちの1つに絞らなければらならない、明確に言っているのがユニーク。「最高の製品を提供する、特定顧客向けソリューション事業」は成立しないということだ。
後半は3つのモデルの特徴的な企業(AT&Tユニバーサルカード、インテル、エアボーンエクスプレス)の分析。
元は1995年のハードカバーなので、ピックアップした企業が若干古めなのは仕方がない。考え方は現在でも十分通じると思う。文庫版でも入手が難しいらしいのは、少々残念。
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