2007年1月アーカイブ

「国民全員が社長の国」という副題が付いているように、イタリアで事業を営むユニークな社長のエピソードを集めた本。VIPご用達の靴磨きや、2年以上のバックオーダーを抱える生ハム業者、果ては悪魔払い専門の新婦など。
いずれも自身の仕事に誇りを持っているのがとても良く分かる。

冒頭に、

ミラノ工科大学の調査で、イタリアの第三次産業に属する起業家のうち10人に9人が「収益を上げることが自らの起業と経営目的の第一義とは考えていない」と回答し、「事業を起こした理由は、自分だけの独創的な企画を実現したかったから。会社を通じて自分が生活する地域社会の環境をより高めたい」としている。

とある。「自分自身」や「地域」、そしてここに記載は無いが「家族」」への尊敬の念が大変強いのだろう。

著者は、「写ルンです」などの製品コンセプトを作ってきた。本書では、シナリオにより商品イメージが明確になることを種々の具体例で示している。以下は、thikのバイアスがかかった要約。

  • 製品には機能性と情緒性がある。
  • シナリオベース(「モノ」作りではなく「コト」作り)の考え方は以下のとおり。
    1. 現状の課題を挙げる。例えば、ユーザの不満(フィルム装填が面倒、カメラを持たないといけない)、メーカの不安(新規格フィルムは作り続ける必要あり、現像所網の維持も必要)、メーカの不思議(高級デザインカメラは不振)など。
    2. それを技術的に、あるいは事業の仕組み的に解決する対処案を考える。フィルム内蔵でどこでも売っているなど。
    3. 製品のイメージを考える。製品のコンセプトイメージ(例:親近感)から同義語や常套句、比喩を使ってイメージを膨らませる。「身近な、しっくり」や「名刺入れ、ライター、キャラメル」など。
    4. リストアップしたイメージに、「モノ」を当てはめてみる。キャラメルに当てはめると、カラフルな紙パッケージのカメラが思いつく。
    5. 5W1Hなどで利用シーンを想定し、シナリオを考える。
  • シナリオ作成のポイント
    • 想定時期を明確にする
    • 客観的データだけではなく主張や願望を含める
    • 「モノ」の核のコンセプトと提供価値をしっかり把握する
    • 5W1Hなどでシーンを具体化する
    • 機能、操作、行為がわかりやすいようにする

ブレスト結果を分類する時に、Freemindを使ってみようと思った。が、Freemindはテキスト入力ができない。

探したら、MMEditor(http://mikilab.doshisha.ac.jp/research/software.html)を使うと、木構造のタブ付きテキストファイルとFreemindのファイル間の相互変換が可能であることがわかった。

世界各国での同一の質問結果に対する分析から、国民性を見つけよう、というのが趣旨。中公新書のラクレというシリーズの一冊。定価は760円です。

「へぇ」的な点としては、「親は子供の犠牲になるのも止むを得ない」というのが73カ国中日本が72位である点。家族主義的な日本と個人主義的な欧米というステレオタイプは幻なのかもしれない。話の種になりそうな項目は他にも有るが、ちょっと見方を変えると、「こんなデータからこんな結論を引き出すことができるのだ」という点も面白かった。

先程の「子供の犠牲」の項目でも、「『犠牲』の度合いが各国で違うために生じたデータであり、実際には統計上の数値ほど違いはないのではないか、と指摘する。即ち、日本では大学卒業まで親が面倒を見るなど、「犠牲」の度外が高く、米国などでは「犠牲」の内容が日本ほど濃くないため、犠牲を払ってもよいと考える人が米国のほうが多かったという統計データになったのではないか、と唱える。

本書を読んでいると、データの解釈は多面的に行えるのであると改めて感じた。

1999年9月のPHP新書。今読むと、著者の主張がそれほど「とんがって」いないようにも感じるが、裏を返せば著者が指摘していた潮流が当たり前になってきたということ。先見の明に感服する。

著者の主な主張は以下のとおり。

  • 事業システムは、事業コンセプトから導かれる。事業コンセプトは、「どのような顧客に」、「どのように価値を提供するか」の考え方である。
  • 事業システムを決める為の肝は、
    • 事業のどの活動を自社で行うか
    • 社外の関係者と、どのような関係を築くか
    の2点に集約される。
  • 製品での差別化と、事業システム(ビジネスシステム)での差別化には大きな違いがある。「目立つ」「判りやすい」「華々しい」「真似しやすい」「長続きしない」のが製品での差別化であり、逆が事業システムでの差別化である。
  • (99年当時の)新しい事業システムは、
    • スピードを高める
    • 組み合わせる
    • 集中特化と外部化を行う
    の3点が特徴的である。
  • 組み合わせは、既存事業の顧客情報を他の事業に適用するなどで可能となる

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