2004年11月アーカイブ

構想力の育て方

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構想力の育て方 鈴木成裕

構想力のシリーズ第2弾。著者が前書きで書いているように、

本書は(略)不特定多数の読者に向けて書いたものであり、(略)直接の方法を採ることができません。(略)読者にとって違和感があるかもしれません
とある。本文は小演習が随所にあり、集合教育での流れをそのまま書籍にしたと思われる。具体的ではあるが、網羅的でやや各論に寄りすぎており、本を読むだけでは理解が難しかった。
思考の方法として、「逆思考」という考えは新鮮だった。ある語句(名詞)の機能・特性を元に、それと逆の機能を持つ名詞を導く、という物。たとえば、「紙」(柔らかい)ならば、「鉄」(堅い)等。

じっくり読んで、小演習もしっかりやれば身に付くのかもしれませんが、「『構想力』の『育て方』」を手軽に理解しようとするには、ちょっとつらい本でした。




「構想力」の育て方―ビジネスの必須スキル
鈴木 成裕



プレジデント社
2004-07
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イノベーションの本質

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13のイノベーションを通して、それらに共通する考えを導く。各ケースに対して、物語編と解釈編からなる。物語編はジャーナリストの勝美氏が担当、NHKの「プロジェクトX」そのもの。解釈編は、野中教授が担当している。

野中教授の主張の一部:
「イノベーションを起こすのは『人』である」から、その力を最大限に生かす「知識経営」が必要である。弁証法の考えに基づいて、異なる考えを昇華し、綜合することによりwin-winとなるベストな解が生まれる。



日本人が、日本人を良く知って書いたイノベーションの本だと思う。
「分析ばかりして、主体性がない」という著者の主張は、納得する点もある。「だったら、やってみろよ」って言い返したくなることもある。

でも、なぜ分析に長け、主張することが弱くなったか。2つの要因があるのではないか。

1つは、「主張が不要であった」から。持続的イノベーションでは、過去を延長したイノベーションである。この場合、過去の(既存の)顧客、製品、他社を精緻に分析すると、不満点や不足点が見える。それの解決が次のイノベーションであるから、主張は不要である。オイルショック以降の日本が得意とした持続的イノベーションで染み付いた文化・体質では、主張ではなく、分析が重要視された。

もう1つは、「米国輸入の分析の訓練をした」から。米国の教育は、主張の教育である(と、thikは認識している)。自己主張が強い米国人は、それを補完する客観的分析が必要になる。そのため、米国の事業企画手法は、問題解決でも「分析」に重点を置く。なぜなら、主張は自然に盛り込まれているから。一方、唯一の正解を求めようとする教育を行ってきた日本では、現状(前提)をよく「分析」し、そこから1つの答えを見つける習慣が身についた。このようなバックグラウンドに、米国輸入の「分析重視の事業企画」を適用すると、何を主張したいか(so what)がおろそかになるのではないか。
狩猟民族の「相手を負かすか、負かされるか」と、農耕民族の「みんなで育てましょう」との違い、かも。
(すごくステレオタイプな論理の展開ですね)。


イノベーションの本質
野中 郁次郎 勝見 明



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リアルでクールなイノベーション論
奮い立て、我ら開発者!
日本の製造業に元気になってほしい。そんな筆者の気持ちが伝わってくる本です。

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箱―Getting Out Of The Box

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自分の素直な心を裏切ると、「箱」の中に入ってしまう。すると、「裏切り」を正当化するために、周囲に(あるいは自分に)対して、余計な圧力をかけてしまい、本来の「したいこと」ができなくなる。
箱から出るには、

  • 自分の本当にしたいことに素直になる
  • 自分が箱から出たいと思う
  • 「自分は正しい」と考えていたことを疑う
  • 周囲を「モノ」ではなく、「ヒト」として見る
が必要だ。
そして、他人を有るがままに受け入れる、できる限り他人のために役に立とうと思うことで、箱の外に居続けることができる。


原題は、LEADERSHIP and SELF-DECEPTION:Getting out of the Box。日本版の「箱」というタイトルは、インパクトはあるけど、内容がイマイチ判らない。サブタイトルを工夫すれば、もっと読んでもらえるのではないかな。ちなみに、原著は、Audio CDも出るようです。朗読かな?

紹介していただいた佐野さんからは、「自己欺瞞の本です。イタいですよ」といわれていました。

自己欺瞞を辞書で引くと、「自分で自分の心を欺くこと。自分の良心に反する言行をすること。自欺。」と書いてある。「あざむいてなんかいないよ」と思って軽く読み始めたのですが、実は、「素直な思い」の通りには行動していなかったのが良くわかりました。本来の結果をストイックに追求せずに、余計な気苦労をして、集中できなかった事がよくありました。その場では気付いていないのですが、本を読み終えた後に「ああ、あの場面では、確かに余計なことに気がいってしまい、課題解決に100%のパワーを注いでいない/最高の解を選んでいないなあ」ということがまざまざと判りました。
「仕事で成果をあげる」「妻や息子と幸せになる」など、例示がとてもわかりやすくて、思い当たるフシがありすぎ、「イタい」でした。でも、イタみがわかっただけ、ましです。

多分、本を読んだからといって、直ぐには実践するのは難しいと思います。でも、「自分の素直な心に、逆らっているよね」と判るだけでも、よりよくするの糸口が見えてくるのかなと思いました。
私が箱から出続ける為の、私なりの方法は、

  • 他人の目(他人から自分がどう見えているか)を気にせずに、自分が他人をどう見ているかを気にする
  • そのためには、自分に自信をもつ。自分に対して後ろめたいことはしない
  • でも、「そういう風に行動してしまうときもある」ということを良く認識しておく
でしょうね。八方美人の私としては少々キツいですが、目標を達成する嬉しさと比べたら大したキツさじゃないかもしれませんね。
やっぱり、「太陽はいつもお見通し」なのでしょう。


なお、この本はamazon.co.jpでも、bk1でも、在庫がありません。手元において、たまに思い出すにはいい本なのに。


箱―Getting Out Of The Box
ジアービンガーインスティチュート The Arbinger Institute 冨永 星



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2001-10
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出会えて良かったと思える本です
あなたをきっと世界一優しい人間に変える本
素晴らしい!

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キャズム 第2章 「悟り」レイトマジョリティ(保守派)

キャズム 2章「ハイテクマーケティング - 悟り」 その4 アーリーマジョリティ(現実主義者)の続き。アーリーマジョリティと同様に、最大規模を誇るセグメント、「レイトマジョリティ(保守派)」の特徴と攻め方です。



レイトマジョリティも実利主義者と同様に数は多い(全体の1/3)。
既存業務の踏襲に重きを置く。また、製品も「枯れた」頃に購入する。但し、購入量は多い。また、製品は(陳腐化しており)利幅が薄い。

レイトマジョリティを対象にすることは、開発者は新規性は無く面白みに欠けると思うかもしれないが、事業としては面白い。保守派の意向を捉えれば、開発のリスクは少なく、ある程度の規模の市場が確実に存在するからだ。
彼らと上手に事業をする為には、1.ホールプロダクトに仕上げ、収入が望めないアフターサービスを不要とする、2.利幅が薄いため、手がかからない販売チャネルを利用する、がある。

***

販売ターゲットの最後で、アーリーマジョリティと同様の規模をもつレイトマジョリティ。著者が述べるように、技術的には面白くない領域である。だが、「はまれば」事業としては美味しいところであるという主張もわかりやすい。

ムーアさんは、「低収益」と決めているが、果たしてそうなのかは疑問が残る。例えば、「枯れた」技術のために他社が撤退を始めた領域は、寡占になる為、価格決定権が買い手から売り手に移行するのではないか(例:レコード針のナガオカ)。そして、高収益となるのではないか。また、高収益だからといって、新規投資をして参入するのは採算が取れないため、新規参入もない。そのため寡占状態は継続し、(ニーズがある限りは)高収益状態は継続するのではないか。
いずれにしろ、キャズムを乗り越えて、このようなフェーズにたどり着きたいものだ。

今日のマインドマップは、こちら(↓)。gifで置いています。ブラウザによっては、画像をダブルクリックすると拡大します。

041119.gif


キャズム
ジェフリー・ムーア 著

MBAビジネスプラン

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MBAの教育でおなじみのグロービスが執筆しているMBAシリーズの一つであるMBAビジネスプラン。目次は、以下の通り。

第1章「ビジネスプランのフレームワーク」、
第2章「ビジョン」
第3章「ビジネスシステムと戦略」
第4章「人と組織」
第5章「ファイナンス」


グロービスのMBAシリーズ。数年前に購入し、何回か読んだ後にお蔵入りになっていた。改めて、紐解いた。

目次の通り、起業の意思がある人向けに、事業計画を立案することに対して一通りのカバーをしている。また、内容も、創業期と転換期の両方についての記述があり、立ち上げから成長期まで手元において利用できるようになっている。企業家にとって難解と思われる収益計画も、「キャッシュフローの計算の仕方」等、丁寧に解説している。MBAシリーズの名の通り、ビジネス(プラン)を作る為のエッセンスが盛り込まれている。

でも、この本、どんな読者を対象としているのだろう(セグメントはどこだろう)?と考えると、とてもあいまいだと感じられた。
「事業シナジーへの考慮」など、社内で新規事業を立ち上げる人にも役立つ。「借入と株式発行の比較」等、立ち上げ期のCFOにも適している。でも、ある「個人」にとっては、中途半端な印象は拭えない。もう少し、セグメントを絞り込む冒険をしても良いと感じた。

また、内容は、若干の具体的な記述はあるにしろ、やや散発的だと感じました。教科書ではなく「実践」をうたっているのである程度は仕方が無いとは思いますが、もう少し体系的な記述があればよいと思いました。

いろいろ書きましたが、一般的な事業計画「書」と言う切り口では良い本だと思います。一通り基礎を勉強するには、良い本出だと思います。買った当時、非常に感動した覚えもあります。自分自身も成長しているのかもしれません。



MBAビジネスプラン
グロービス



ダイヤモンド社
1998-03
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就職活動ケーススタディー対策なんかに
表紙を見ると難解そうですが
事業の鳥瞰図を作るにはもってこい!

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「シンプル」で仕事が変わる!ビジネスを成功に導く7つの常識

著者が主張する7つの常識とは、以下(各章のタイトルでもある)。

  • シンプルに考える
  • 自分がしようとしていることを知る
  • 物事には必ず段取りがある
  • 実際にする人がいなければ、何事も進まない
  • 物事が期待通りになることはめったにない
  • 物事はできたか、できていないかだ
  • 他人の視点で物事を見る

各章の導入には、その章の主題を実践しているかどうかの簡単なクイズもあり、面白く読める。ボリュームで主張の重点を決めるのは良いとは限らないが、7章と2,3,4章の記述が細かく、また具体的である。

1章には、「水平思考」という概念が出てきます。前提を崩さずに論理的に考えるのは垂直思考、ちょっと別の視点から考えるのが水平思考だと理解しました。多湖輝の「頭の体操」みたいな考えですね(古!)。現代では、IQサプリかも。2?6章は、特に新鮮な感動は、無かったかな。あ、4章で、「ダンスカード」(縦軸を抱えているプロジェクト、横軸を年月にした表。各月に各プロジェクトに要する予定時間を記録する。毎月の合計は所定従業時間の160?200時間に収まっていないと、計画段階で無理があることが明らかになる)を元に、上司に計画の変更を迫るくだりが新鮮かも。

7つの習慣(2章関連)や、手帳での年次、月次、日時コントロール(7章関連)や、マインドマップ(これも7章)も出てきて、ちょっとびっくり。マインドマップの参考文献として、「これが驚異のマインド・マップ放射思考だ!!」が紹介されていた。マインドマップの考えを説明する本としては、たくさん紹介されている「人生に奇跡を起こすノート術」よりも、いいのかな。

7章は、すべてのまとめでもあり、いろんなケーススタディが盛り込まれています。ここだけ読むのでもいいかも。また、気が向いたら、図書館から借りて読みたいですね。


「シンプル」で仕事が変わる!―ビジネスを成功に導く7つの常識
ファーガス オコネル Fergus O’Connell 木村 充



東洋経済新報社
2003-04
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根本が変わった。
全然ピンと来なかった
段取りベタな人に!

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発想する会社!

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発想する会社!

発想する会社!


世界最高のデザイン・ファーム「IDEO」の発想方法の本。中身はたくさん、なので筆者がピンときたものを記す。

イノベーションのステップ

  1. 理解:市場、顧客、技術、課題などを理解する。
  2. 観察(ここは重要):現実の使い方、を観察する。顧客に聞いてもダメ、自分の目で見る。
  3. 視覚化:新しいコンセプトと使っている姿を目に見える形にする。
  4. 評価とブラッシュアップ:プロトタイプ作成(3.)と評価を繰り返し、よりよいものとする。
  5. 実現:4.で固めたものを作る。

ブレストのための7つの秘訣

  1. 焦点を明確にする。顧客のニーズ・サービスの強化に焦点を置く。あまり限定しない。
      「自転車に乗る人が、やけどをせずにコーヒーを飲む方法は?」
      「dial upモデムを解して検索する顧客が最初の結果を見つける時間を短くするには?」
  2. 遊び心のあるルール。ルールを明示しよう。
    「目に見える表現にしよう」「数を出そう」
  3. アイデアを数える
    「部屋を出るまでに100のアイデアを見つけ出そう」
    1時間に100個のアイデアが出ればGood,150個はExcellent
  4. 力を蓄積し、ジャンプする。流れが衰えたら、別の方法を考えてみる。
    「何か他の方法はあるだろうか?」
    「まったく手を使わないアイデアを考えてみよう」
  5. 場所は記憶を呼び覚ます
    壁と机は紙で全面を覆っておく。アイデアを書き留める。
  6. 精神の筋肉をストレッチする。
    言葉遊びなどで、グループをブレストに集中させる。(アイスブレークみたいなものか)
  7. 体を使う
    種種のものを持ち込む。
    絵や図や表を書く。
    顧客の行動パターンなどを体で表現する。

ブレスト Don't
上司が最初に発言する、全員に順番が回ってくる、エキスパート以外立ち入り禁止、社外で行う、ばかげたものを否定する、すべてを書き留める

メンバの活性化のために

  1. チームメンバを、いつも顔をつき合わせるようにする
  2. チームに好きなことをさせる
  3. 種種のプロジェクトを並行して進め、アイデアを融合させる。

アイデアの種をまく・刈り取るために

  1. 雑誌の購読とネットサーフィン
  2. 映画監督になったつもりで、じっくり観察してみる。
  3. 一般公開する。プロトタイプや説明を、他の分野の人に行う。
  4. さまざまな主張に耳を傾ける
  5. アウトサイダーを雇う
  6. 違う人間になってみる。キーボードを親指だけで打ってみる。
  7. 二職種以上の仕事ができるように訓練する。


・楽しい経験をしてみる。夢のシナリオを考えてみる。

・枠をはみ出して色を塗る。
・失敗は成功の近道である。まずはやってみる。前例がなければ、試してみる。


OutLogicさんのサイトで、「[?]アイデア創出からコンセプト化まで 」の参考文献として、No.1に上がっている本。イノベーションがもっとも必要と思われるデザインファームで実際に行われている内容を本にしてあります。IT系のハイテク企業もイノベーションが必要なことは論をまたないのですが、そのまま全てを適用するのは難しいかなと思います(でも「難しい」と言い切ること自体が、イノベーションを妨げているのかもしれませんね)。 その中から、私自身に参考となる項目をキーワードとして選びました。アイデア渇望症の方に、お勧めの本です。
発想する会社! ― 世界最高のデザイン・ファームIDEOに学ぶイノベーションの技法
トム・ケリー Tom Kelley ジョナサン・リットマン Jonathan Littman 鈴木 主税 秀岡 尚子



早川書房
2002-07-25
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変革の陥穽

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変革の陥穽
イノベーションを進めるための組織(体勢、人事マネジメント)論。イノベーション実行に組織・人が「疲労」してしまい、変革の速度が減じる。すると、更なるイノベーションが要求され、疲労度が高まり、変革速度は落ちる、という「ジレンマ」の打破を目指す。そのため、「安定的な」イノベーションが必要、と説く。

イノベーションの頻度(数週間?数年)と、イノベーションのレベルから、イノベーションを4つに分類している。

  • イノベーションレベル:、イノベーション頻度:→漸進的イノベーションが必要。組織はピラミッド構造(滅多に動かない)。
  • イノベーションレベル:、イノベーション頻度:→断続的イノベーションが必要。組織はサイコロ構造(時間をかけて集中すれば。大きく変わる)。
  • イノベーションレベル:、イノベーション頻度:→反復的イノベーションが必要。組織は車輪構造(すぐにころころするが、方向は1次元)。
  • イノベーションレベル:、イノベーション頻度:→連続的イノベーションが必要。組織はピラミッド構造(どこへでも転がる)。

車輪構造は、変化を業務プロセスに組み込んで安定的なイノベーションを目指す。効率性と学習がキーとなる。メンバは、専門性の向上と新たな挑戦に焦点を置いて行動すると良い。

図書館返却日なので大急ぎで目を通した本。著者がArthur D. Little(訳者もArthur D. Little日本法人)なので、組織コンサルネタを抜き出した、という感じか。

主に、大企業(最低でも数百人)が「改革」を起こそうとするときに、どのような組織構造を設計し、そのメンバにどのようにモチベートするか、という事に主眼を置いています。
図が多く、読みやすい本です。大分類毎に「まとめ」が数ページついており、そこだけ読んでもエッセンスがわかる。というのはよろしい。


変革の陥穽(オトシアナ)
ピーター スコット・モーガン ヘンク シュミット エリック ホービング アーノウド ファン・デル・スロット
Peter Scott‐Morgan Henk Smit


東洋経済新報社 2001-09 売り上げランキング 439,371おすすめ平均 
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キャズム 2章「ハイテクマーケティング - 悟り」 その4 アーリーマジョリティ(現実主義者)


いよいよ、「キャズム」の向こう側のプレーヤが出てきます。まずは、アーリーマジョリティ(EM,現実主義者)の分析です。なお、

がハイテクマーケットの全貌です。図中、「Pragmatists」が、アーリーマジョリティです。>本図は、「なんでも百科事典」でおなじみの、Wikipediaの、「Crossing the Chasm」の項目から引用しています。
尚、Wikipediaに掲載されていることは、OutLogicCrossing the Chasm - ホールプロダクト・マーケティングから教えていただきました。ありがとうございました。

メインストリーム市場のプレーヤは、アーリーマジョリティ(EM,実利主義者)と、レイトマジョリティ(LM,保守派)の2種。正規分布の法則により、各々市場の1/3を占める。

EMはEA(ビジョナリー)のように、冒険をしない。先行者利得より、確実性を取る。そのため、目立たない存在である。
購入までのハードルは高いが、一旦食い込めば長い付き合いが可能である。また、自社ではリスクをとって購買検討をすることはせずに、実績あるトップベンダが採用される。また、従来の仕組みを変えることなく(=冒険することなく)、採用できるものを選ぶ。
(備考 このため、リーダー製品には3rd party製品が数多く生まれ、リーダーの自社投資が少なくて済む。このため、リーダーは更に強くなる)

冒険をしないEMへの普及作戦としては、「実績がある」ことを示すのが一番である。同業他社での採用、展示会の掲載などが有効である。


「その商品は、たぶん私の業務を改善するのに役に立つと思うのだけど、購入してかなあ?使えるのかなあ?」そんなことを考えているのがアーリーマジョリティです。 他社の動向を気にしている。先陣を切らない人は徹底的に乗らない。そんなお客様の顔が浮かぶのではないでしょうか。それは、EMです。

「ディスカウントしてもいいから、ビッグユーザを押さえる。そこを広告塔にして広める。」等は、経験則としてご存知の方も多いと思います。このような広め方は、通常のプロモよりも数倍効果がある。それは、EMが、「業界の動向には敏感」であり、「顕在しているニーズはあるが、製品の効果が保証されているわけではないので、二の足を踏む」特徴があるからです。「右へ習え」の顧客ですね。
そんなEMを攻める方法としては、導入リスクを下げる方法もあると思います。本書で述べているように、「No.1ベンダーになる」「No.1ユーザに採用される」というのも有りますが、出来高払いにする、無償試行期間を設ける、等もアリですね。

本日のマインドマップは、こちら(↓)。

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キャズム   ジェフリー・ムーア 川又 政治


できる上司の仕事はここが違う!

リーダーの仕事は、戦略的/実務的課題のX軸、ルーチンワーク的/適応指向型課題のY軸の平面であらわされる。どこにポジションを置くかはケースバイケースだが、おおむね戦略的・適応指向型課題が必要だ。
リーダーは、全員の意識をあわせ、ゴールに向かっての課題解決を行う必要がある。これらは、以下の7つの行動で実現できる。

  1. 展望台から眺める:今、自分たちがどこにいるか、どこに向かうべきかを知る。
  2. 真実の姿を伝える:上で知ったことを、関係者全員に知ってもらう。
  3. 競合する価値観を明確化する:関係者の思いを明らかにする。思いの違いが存在するのは当然。そこに気付けばゴールに向かって進む方法のコンセンサスが取れる。
  4. 価値観の変化を支持する:従来の延長ではゴールへ進めない場合には、従来と異なることを行うことを後押しする。
  5. 対話を促進する
  6. 部下の苦痛を調整する
  7. 全員に集団としての責任を取らせる


図書館で見つけて、軽いタイトルに惹かれて、さっさと読んでブログネタにしよう、とおもったら、結構いいじゃない、この本。というわけで、半分まで読んだところで今日はおしまい。週末までに読むことにします。

題名は余り適切ではないですね。原題は、"The Real Works of Leaders"であり、こちらのほうがしっくりきます。日本語の「上司」は中間管理職的な色合いが濃いと私は思うのですが、本書が対象としているのは「リーダー」です。CEO、とまではいかなくても、かなりの権限(特に人事権)があるレベルを対象にしています。
って、あてはまらないじゃないか>私
できる上司の仕事はここが違う!―経営の現場に学ぶ実践リーダーシップ
ドナルド・L. ローリー Donald L. Laurie 小林 薫


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イノベーター(I)から、アーリーアドプター(EA)に攻めあがる為のポイントです。

EAを攻める場合には、EAの業務に深く突っ込む必要がある。この時、自イノベーションをしっかり把握しており、またどこまでならば対応が可能かをを判断ができる営業が必要である。また、その後の広がりが想定できるマーケットでのNo.1プレーヤーである(orとなるであろう)EAと共に行動すべきだ。
IとEAの間の谷間に陥っている場合、イノベーションを見直し(Review)、再評価する。イノベーションでは初期市場を形成できなければ、主力市場の補完技術として生き残る(但し、破壊的事業ではなくなる)方法がある。また、個別のEAに徹底的にソリューションを提供すれば、主力市場が見えてくるかもしれない。

* * * *

イノベーション提供企業が、EAを獲得しようとしている時に、EAを選り好みできるか。
キャッシュは、のどから手が出るほど欲しい。でも、突っ込んでもそれほど大きくならない(主力市場への繋がりが想定できない)EAだったらどうするか。
受託事業と考えてもよい。キャッシュは入るが、それで終わりの可能性がある。お役所の補助金による技術開発も、同様かもしれない。

昨日のエントリでは、原則論で、

この打開策として、あるEAのソリューションを水平展開できるモデルを描き、投資家を納得させて金を出させる必要があるだろう。勿論、そのモデルに沿って水平展開をする必要がある。

と書いた。現実として、その判断が私に下せるのだろうか。

模範解答は、「仮説の検証度合いによる」だ。主力市場の仮説が成り立つか、水平展開の仮説に自信が持てるか。残念ながら、100%の検証は不可能である。だから、私だったら、かなりの割合で、「今のキャッシュ」を取りにいくだろう。食いつないでいれば何かが見つかるかもしれないし。


いずれにしろ、状況を冷静に分析し、判断することは、どんな場合でも必要ですね。
キャズム、現実に対して課題解決の糸口をくれる、とても良い本です。もちろん、課題解決は自分で行う必要がありますが。




今回の、マインドマップは、こちら(↓)。

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イノベーターの次のマーケットは、アーリーアドプター(EA)です。

アーリーアドプター(EA)は、テクノロジーを実業務に生かし、画期的な業務改善・新規業務の立ち上げを行い、No.1を目指す。投資の資金は潤沢であるが、期待する効果(成果)も高く、スケジュールもタイトであり、またEAの自業務に特化した成果になりがちである。そのため、水平展開をするには、EAほどジャンプアップは望まない顧客、EAが実現しようとしている一部で満足できる顧客に成果を「切り売り」する必要がある。この過程で、メインストリーム市場の切り込み先が見つかるかもしれない。
EAでの成功は、メインストリーム市場に対してのよき宣伝となる。メインストリーム市場に対して知らしめることができるからだ。但し、メインストリーム市場の購買決定要因は、EAではない

* * * *
アーリーアドプターは、第2ラウンドの投資の回収先であり、自イノベーションが「有益である」事の証明であり、宣伝である。EAが獲得できれば、イノベーションの有益性(=事業性)が確信できる、ということだ。そのため、本マーケットの突破が必須になるのは明らかだ。
しかし、「イノベーションへの解」でクリステンセン教授が主張しているのと同じく、ニーズが未成熟な本マーケットでは、「統合型(相互依存型=システム提供)」提供が必須となる。勿論、全てを自社で提供できるとは限らない。EAが負担する部分もあろう。しかし、基本的にはモジュール(パーツ)提供ではなく、システムとして形成され、ソリューション提供ができて初めて価値が出るマーケットだ。

一方、システム(ソリューション)提供は、体力が必要だ。EAの業務を知り、それに合わせて自社で不足している技術は持ってくる必要がある(EAが開発してもよいが)。一般的には、EAに売り込んでいるフェーズでは、それほど企業体力が無く、「選択と集中」で自社技術に集中投下していると考えられる。ソリューションを展開するための人・物・金が無い。だが、ソリューションを提供しないとEAを突破できない。
この打開策として、あるEAのソリューションを水平展開できるモデルを描き、投資家を納得させて金を出させる必要があるだろう。勿論、そのモデルに沿って水平展開をする必要がある。イノベーターが「ローリスク、ローリターン」で付き合えたのとは違い、EAは腹のくくりが必要だし、リスクヘッジも必要。怖いが、面白いフェーズである。

わが身を振り返ってみると、うーん、と納得できる点が多々ある。あとは、行動に落とすことだ。


今回も、私の解釈をFreeMindを使ってマインドマップで書きました(↓)。ご参考まで。あ、日本でFreeMindを普及させる(素晴らしい!)、http://drikin.com/freemindが立ち上がっていますね。FreeMind、とってもいいですよ。

余談。
Exciteのブログ、とっても軽くて良いのですが、制限が厳しすぎ。また、plain textを前提にしているので、不用意な改行(でも、ソース的には改行したほうが見やすい)で、やたら間隔が開いたりする。いっそのこと、htmlで直接書きできるBlog、無いんだろうか??、、って、webページを持て、と言うことか?



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