ネット資本主義の企業戦略 フィリップ・エバンス/トーマス・S・ウースター著
ボストン・コンサルティング・グループ訳
ある事業の参入戦略を練っていて、「垂直統合」「水平分業」や、「レイヤマスター」などの言葉が気にかかり読み出した本。もう一冊、同じくBCGの内田さんが書いた本は現在読んでいる。
1999年に執筆された。当時であれば先鋭的な分析であったと思うが、今となっては一般化してしまった内容が多い。用語はこなれておらず、ちょっと読みにくいのも難点。
また、現在及び近未来の状況の俯瞰と、そこからいえることを帰納的に述べており、「で、どうしたらいいの?」ということについてはほとんど触れていない。コンサルティングファームが執筆した本に多いパターンであり、後は個別コンサルをしましょう、ということ、だろう。
以下、備忘録代わりに内容をかいつまんで記す(thikの主観が入っていることに留意)。
「デコンストラクション」とは、ばらばらにすることである。
従来は、「リッチネス」(顧客へのコミュニケーション密度)と「リーチ」(到達可能な顧客数)とは相反する概念であった。たとえば、リッチネス極大の対面販売と、リーチ極大の通信販売は、「質」を重視するか、「量」を重視するかが大きく異なり、「質(リッチネス)」と「量(リーチ)」の双方を満たす手段は無かった。
しかし、(ITによる)「デコンストラクション」(機能ごとの細分化)により、顧客に提供する価値が細分化できるようになり、リーチを保ったままリッチネスをあげることが可能になった。通信販売でも、対面販売と同様のインタラクションを持つことが可能となる。
そして、「デコンストラクション」が行われてばらばらになると、「ナビゲーション(顧客の水先案内人)」する企業が出てくる。Financial AdvisorやアカウントアグリゲーションソフトとしてのQuickenである。
ナビゲーション企業は、「リッチネス」「リーチ」に加えて、「アフィリエーション」(顧客代行度)の3つの尺度が必要となる。
そして、既存の企業が「ナビゲータ」に勝つためには、「クリティカルマスを与えない」「自らナビゲータとなる」「自らデコンストラクトする」などの手段がある。
ネット資本主義の企業戦略―ついに始まったビジネス・デコンストラクション | |
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