ブランド王国 スイスの秘密 磯山 友幸著

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日経の新聞記者として、チューリヒ支局に在住していた著者がスイスの強さをまとめ、日本の今後の成長のために7つの提言を行っている。
本書の中で、スイスの強さは以下に代表されると言っている。

  • 既存ブランドの重要視。
    スウォッチやネスレなどはM&Aで企業体力を強化してきたが、その際にブランドを統合することなく既存ブランドを活かしてきた。そのため、既存ブランドを信頼している顧客をそのまま確保しながら成長ができた。
    一方、日本ではM&Aの際はブランドまでを統合しようとする。そのため、ユーザが混乱する場合が多い。銀行合併などが良い例。
  • 顧客重視の金融業。
    秘密保持を最重要と考える銀行などの金融業が伝統的に強い。世界の金持ちのニーズを的確に捉えているサービスを実現している。

一方、スイス航空の破綻と、その後の再建の迷走、そして最後にはドイツのルフトハンザへの経営統合と、ブランドが破綻してしまう場合も起きてきていると述べている。また、クレディスイスはブランドを「統一」する方向に走り出しており、前掲のスウォッチとは逆の戦略を採っているとも述べている。

これらを踏まえて、著者は、最終章「スイスに学ぶ7つの知恵」で、日本の成長のために以下の手段を提言している。

  • 高付加価値経済。レクサスなどに代表されるプレミアブランドの構築。
  • 強い通貨。円高は輸出企業の再構築をもたらし、結果として円高に耐えることが出来た。また、国民の生活は円高によって豊かになった。
  • プライベートバンク。
  • 美しい国土。日本独特の山紫水明の世界をプロモートする。
  • 若手の登用。複数路線のキャリアをサポートする。
  • 外国人の活用。明治時代の外国人の活用による文明開化のように、グローバル化に対応するために外国人を活用する。
  • 小さな政府。民間主導による小さな政府を作り上げ、活力を増加させる。

M&Aを行っても、既存ブランドを継続させることにより顧客を確保する。M&Aは、ブランド統合による売上相乗効果を狙うよりもオペレーションの重複削除でのコストダウンを狙うと言う発想は新鮮だった。

日経の記事を加筆修正して作り上げているので、若干重複する内容が各章の間にあるのは残念。また、誤字も2個所あったと思う。切り口は良いのだが、ちょっと消化不良だった。


ブランド王国スイスの秘密
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このページは、thikが2006年6月27日 01:32に書いたブログ記事です。

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