中国シフト 大前 研一著

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著者が2001年7月から翌年の5月まで、雑誌「SAPIO」に連載した記事を再編集したもの。2002年7月出版。「中国シフト」というタイトルだが、中国に限らず日本企業の課題と、解決のための仮説を述べている。以下、本書から気づいたことを抜粋。

  • 中国へのシフトは製造部門だけではない。ソフトウェア開発やバックヤード業務(間接部門)も中国へのアウトソースが起こっている。例えば、カーナビ地図の入力作業や、コールセンターなど。その受け皿として、日本からの仕事を取るべく、官民挙げて努力している。ハイテクパークを整えた大連などがその例である。
  • 日本が中国進出で失敗しているのは、日本のルール(仕組み)を押し付けたり、現地雇用を重視せず「中国の会社」として溶け込もうとしないという問題があるからだ。
  • ユニクロの海外展開と食料品展開は難しいのではないか。日本は画一的な衣料品を好む文化(制服文化)であるが、海外は違う。また、食料品のうち、生鮮食料品は商品リスクが高く、乾物系は総合食料品スーパーが赤字覚悟の販促品として展開するため、メリットがでにくい。 そのため、ユニクロが「集客力のある店舗を持っている」メリットを活かし、商品リスクをとらずに生鮮食料品の場所貸しなどはどうか。
  • ウォルマートは、日本で4-5番手の店舗しか持たない西友と組むだけでは成功しない。西友は日本市場での練習台と考え、本当に狙うのは地域一番店を持っているそごうやダイエーが解体されたときではないか (thik注:ウォルマートはダイエーの支援スポンサーとして手を挙げましたが、丸紅系が支援することになりました)。

内容に統一性がないのは、雑誌記事をまとめたためであるために仕方が無いことか。実際にはそれほど急激に変化していないのかもしれないが、当時としてはかなり先鋭的な内容であっただろう。当たっていることもあり、外れていることもあるが、それ自体は本質ではない。外れていると気づいた瞬間に軌道修正が出来れば、結果的に常に「当たっている」ようにみえるからだ。

大前さんの「時流の読み」はなぜ可能なのか。中国の大連市の素晴らしさなど、当人が肌身で感じていることもあるだろう。それ以上に「なぜそうなるのか(そうするのか)」を相手の立場に立って考える習慣を持つことが大切なのかもしれない。



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中国シフト

大前 研一

小学館 2002-06-29

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by G-Tools , 2006/04/07

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このページは、thikが2006年4月 7日 01:34に書いたブログ記事です。

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