サイボウズ、ウィルコムと提携して携帯電話事業に参入というCNETのヘッドライン。「ソフトバンクと同様の買収か?」「バンダイのキッズケータイに対抗して、Officeケータイか?」などと妄想したが、どうやらそうではないらしい。
サイボウズのプレスリリースによると、
サイボウズがウィルコムとモバイル事業で提携
?新たなビジネスモバイル事業への参入を目指し、テストサービス開始?
株式会社ウィルコムとモバイル事業で販売提携を行い、2006年3月23日 (木) からウィルコムの端末を利用したテストサービスを開始いたします。(略)今回のテストサービスでユーザー様からいただくフィードバックを参考にし、2006年末までに正式にサービスを開始いたします。正式サービスでは、(略)当初1年間で2?3万人にご利用いただくことを目標とし、新たなビジネスモバイル事業への参入を目指します。(略)尚、ビジネスモバイル事業は、サイボウズの連結子会社である株式会社インフォニックスと業務・資本提携先である株式会社ゆめみ と協業し準備を進めています。具体的には、インフォニックスのMVNEサービス を利用し、ゆめみが携帯端末向けのアプリケーション開発を行うなど、各社の強みを集結させシナジーを創造することで、効率・質の良いサービスの開発を目指します。
とある。まずは販売提携から始め、用途開拓と顧客提供価値確認を行う、と言うところか。CNETのタイトルは、東京スポーツばりに、ちょっと強烈だった。まあ、それは置いておいて、サイボウズは、「ビジネスモバイル事業への参入を目指す」とはっきり言っている。比較的収益の良いコンテンツ保有企業が、なぜネットワークインフラ(これ自体はさほど高収益ではないと思う)を目指すのだろうか?
それは、ネットワークを提供するだけであれば低収益になってしまうが、コンテンツ保有者がネットワークを持つと、新たな価値がネットワークに付加されるためであろう。
例えば、サイボウズが自社グループウェアのシームレス環境を実現する回線提供者となった場合には、顧客に、「すぐに使える」「面倒が無い」「管理が容易」などという価値を提供できることになる。
ワーキングスタイルが「どこでもオフィス」になり、仕事に必須なグループウェアへのアクセスを常に確保する必要がある世界が来ることを予想して、サイボウズが(たぶん当時は)携帯事業は行っていなかったインフォニックスを買収したのだろう。そして、彼らをMVNEへ進出させたのは、移動通信への強い意志があったからだろう。
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コンテンツをもつ企業が、足回りである通信回線も押さえてワンストップの価値を提供する。全部お抱えにするのか、事業提携するのかなどの選択肢はあるが、ワンストップソリューションと言う流れは変わらないですね。キャズムの「ホールプロダクト」の考え方を、ちょっと復習してみよう。
はじめまして、村松@ブログビジネスファンドと申します。
キャズム的視点で書かれたブログが意外にも少ないのですが、貴エントリーは共感です。TBさせていただきました。