CNETの記事によると、SunがGPLベースでSPARCのCPUデータを公開するそうだ。
Sunのサイトによると、
This download area is for hardware design and verification engineers, it includes
* Verilog RTL for OpenSPARC T1 design
* Verification environment for OpenSPARC T1
* Diagnostics tests for OpenSPARC T1
* Scripts and Sun internal tools needed to simulate the design and to do synthesis of the design
* Open source tools needed to simulate the design
Commercial EDA tools Requirements:
* Verilog Simulator : Synopsys VCS (R) or Cadence NC-Verilog (R)
* Synthesis : Synopsys Design Compiler (R)
とのことなので、論理レベルでの開発とデバッグもできる。更に、論理合成してネットリストを生成できる。あとは製造のパラメータがあれば誰でもCPUが作れてしまうかもしれない。
なぜ、Sunは自社のCPUという財産を公開したのだろう?
SPARCがIntel,AMDなどに比べて劣勢であり、万策尽きた、とも考えられるが、それだけではないだろう。ソフトウェアのオープンソース化よりもハードウェアのオープンソース化の方がビジネスが広がると、私は考える。
ソフトとハードは、製造に設備が必要か否かが大きな違いだ。オープンソースソフトウェアは誰でも開発でき、開発成果物(=コード)を配布することができる。逆に言えば、うまくビジネススキームを組まないと、儲からない。すべてタダで行うことが可能だからだ。
一方、ハードウェアであれば開発成果を配布する際にはコストをかけてモノを作る必要がある。このため、仮にオープンソースで誰でも開発ができるようになったとしても、製造段階で利益を取ることが可能となる。もちろん、誰でも製造ができるような陳腐化した技術であれば儲け口は無いが、特殊な装置やプロセスのノウハウが必要な最先端製品を製造する場合には、オープンソースであっても十分ビジネスになるだろう。
更に、オープンソースを使ったローエンド製品を、例えばFPGA等で第三者に開発・製造してもらうことにより、自社フラッグシップCPUのエントリモデルが労せずして作れてしまう。
例えばOracleなどのソフトウェアベンダ各社が、無料の低機能版を撒き餌として自社メイン製品の購買につなげる戦略を採っている(以前のエントリ参照)。無料とはいえ、開発や製造、品質保証などにコストはかかる。それに比べて、ハードウェアのオープンソースは、自分たちの儲け口(=ハイエンドの製造マージン)をしっかり確保しながら、世界中の開発者がプロモートしてくれるというモデルを作ることができる。今後、ハードウェアのオープンソースは広がるだろう。
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