CEOになりたいと考えた米国の高校生が、本当のCEOに答えを求める手紙を書いた。本書は、その返事を元にCEOが持つべき7つの資質をまとめたものである。原題は、WISDOM FOR A YOUNG CEO.
以下、序文より。
殆どのCEOが、自分で返事を書いてくれた。そして、それらの返事は誠実で、心がこもっていて、具体的で、そしてとても意外な内容だった!(略)CEOになるための秘密の資質など存在しないということに加えて、必要条件も存在しないということも、知ることができた。僕の手紙に答えてくれた人たち、毎日、新聞で名前を見かけるような男性や女性も、最初はただの大きな夢を抱いた子供だったのだ。彼らの多くは、特に学業優秀ではなかった(読書欲は旺盛だったようだが)。それに殆どの人が,恵まれた家庭の出身というわけでもない。そして彼らのすべてが、大きな障害に直面し,そして自分なりの方法で乗り越え、更に大きな偉業を達成してきた。
でも何より印象に残ったのは、CEOたちがみな同じアドバイスをくれたことだった。自分の好きなことを見つけなさい。努力しなさい。他人を尊重しなさい。失敗を恐れるな。威厳を保ちなさい。夢を追い求めなさい・・・。
なお、7つの資質(これが章立てになっている)とは、以下のとおり。
- Passion(情熱):好きなことをしなさい。していることを好きになりなさい。Do what you love; Love what you do.
- Respect(尊敬):人をあなたの一番の優先事項にしなさい。Make people your priority.
- Vision(ビジョン):未来についてわかりやすく伝えなさい。Clearly communicate the future.
- Humanity(人間性):大切なのは給料だけではない。It's not just about the paycheck.
- Curiocity(好奇心):見る、聞く、学ぶ。Look, listen, learn.
- Integrity(高潔さ):何よりもまず、すべてに対して正直であること。Honesty above all, to all.
- Pragmathism(プラグマティズム):自分が何を知らないかを知りなさい。Know what you don't know.
* * *
この本の元になったアイデアとその実行力に脱帽。そして、それに応えたCEOも素晴らしい。
文中、「本プロジェクトにあまり賛成で無い先生」との記述がある(サウスウェスト)ように、積極性が是である(と考えられている)米国でもかなり無謀な企画と思われたらしい。だが、案ずるより生むが易し。「ポジティブ」という、CEOに必要な素質(本書の章立てには表れていないが)を身をもって体験した企画だ。
唯一、日本から伊藤忠商事の丹羽社長が入っている以外は、すべて米国の企業であり、比較的歴史のある企業が並んでいる(J&J,フォード、モトローラなど)。IT系の企業が入ると、もっと面白かったかも。
なお、本書の出版社であるディスカヴァートゥエンティワン(http://www.d21.co.jp)は、いろいろと面白い本を出している、ちょっとユニークな会社のようです。
CEOから高校生への96通の手紙 | |
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