広告のポータル化を目指す「Onsite Advertiser Sign-up」

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 Googleの強さ(コアコンピタンス)は、適切な検索結果の提供だ。それを利用して検索結果やAdSense参加者サイトへの的確な広告出稿を可能とすることにより、広告ビジネスを成立させた。だが、このたびGoogleがリリースする「Onsite Advertiser Sign-up」(cnetの記事はこちら)は、Googleの検索の強みを利用していない。

 同サービスは、広告出稿者と広告掲載者のマッチングを図る。そして、広告主サイトへの誘導の対価をGoogleと広告掲載者が案分するモデルだ。もちろん、マッチングさせるときにAdwordsで使用していた入札制度を利用し、広告費の低減(広告主へのメリット)と広告収入の増加(掲載者へのメリット)を実現しているが、マッチング自体はGoogleの強さではないと考えている(Overtureでも同様のモデルを採用している)。例えば、既存のアフィリエイトのアグリゲーターであるバリューコマースA8.netと同様に思われる。彼らとの違いは何か?

 Googleは「検索での強み」ではなく、Adwordsとのシームレスな連携や先頃発表した「Google Analytics」とのバンドルを差別化点として「Onsite Advertiser Sign-up」を始めたように思われる。いわば、「大量の広告を扱っているから」というGoogleブランドを前面に出して、広告主・サイト保有者の求心力を高めようとしている。「広告ならGoogle」と認識されるポータルサイトを構築するつもりだろう。
 さらに、同社の強みであるPagerankを利用して、「この分類の広告なら、このサイトへの出稿が最適です」などの広告出稿側への推薦機能や、Googleサイトマップの結果から掲載すべきページを推奨するなどの広告掲載者側へのサポート機能への拡大も考えているだろう。

 (今は)小売を行っていないGoogleにとって、広告が最大の収益源である。広告主から、広告掲載側から、そして広告検索側から、少しずつ手数料をもらう。手数料を払っている側としても、従来の手法に比べて費用を低減できた・収入が増えたため、Googleに手数料を支払っても十分にペイする。最大数の顧客を集客すれば、他社に比べてさらに手数料を下げることができ、差別化を加速できる。広告のポータルを狙う理由は、この辺りにあるのだろう。

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このページは、thikが2005年11月22日 01:37に書いたブログ記事です。

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