Google第2の収益モデル「購買手数料」へのチャレンジ:Google Base

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Googleは、インターネット上から情報を検索して提供する企業である。「検索」は、「情報を集める(インプット)」「集めた情報を処理する(プロセス)」「処理結果をユーザに提供する(アウトプット)」という3つのステップから構成される。

当初のgoogle.comは、サーチエンジン(クローラー)で情報を集め、Pagerankという素晴らしい手法で優先付けし、シンプルな画面レイアウトで表示をしていた。第2ステップの「プロセス」で差別化していた。
次に、第1ステップ(インプット)及び第3ステップ(アウトプット)の強化を行った。クロールというプル型での情報収集を補完する形で、ユーザが情報を投稿(プッシュ)できるBloggerサイトを買収し、またGoogle MapのAJAXのようにコンテンツに応じた「見やすい」形でのアウトプットを図った。

Google Baseというサービスが開始されることがcnetに載っていた。POLAR BEAR BLOGによると、

  • どうもGoogleのclassifieds(ローカル広告)戦略の一環らしい。
  • "Google Purchase"と融合させる計画である。
  • Taggingがユーザーによってランダムに情報を分類する行為であるのに対して、Google Baseは"semi-structured"な情報分類--すなわち、ある程度Googleが指定した枠組みに合わせて情報をpostする--を行うもの。

ということだ。


Googleは、「商品を検索させ、それを購入させて、手数料を得る」というビジネスを始めるのではないか。そのために、Google Baseによって、現状の第1ステップ(インプット)、第2ステップ(プロセス)の強化を図るのだろう。
第1ステップ(インプット)の、「Pullのクローラーだけでは適切な情報を探しきれない」という課題に対し、Bloggerと同様にユーザから情報を登録してもらうことにより解決する。
第2ステップ(プロセス)の、「適切な内容を選びきれない」という課題に対し、ディレクトリ構造を提供することにより解決する。創業当初のYahoo!ディレクトリと同様だ。
現状では、第3ステップ(アウトプット)については情報が無いが、EPICのGooglezonにでてきた、「強力なレコメンデーション機能」が頭をよぎる。現状のオークションサイトでは出品者または落札者の評価しか行っていないが、価格.comの口コミのような製品自体の評価も可能だろう。
このビジネスをスモールスタートする為に、特定の地理的地域(及び製品群?)に絞って開始するのだろう。Googleが、SFで無線LAN構築を行っていることも、このビジネスにつながっているのではないか。
Google BaseとGoogle Purchase(または、Google Walletとも言われている)の融合のローカル実験が成功したら、次フェーズは地理的拡大を図るのと同時に、扱うアイテムを「情報」というGoogleの得意分野に広げていくのだろう。後者は、どのような事業になるのかは想像つかないが、単純な情報ビジネスではないことは確かだ。

現在の主力収益源であるGoogle Adwordsが企業からしか収入が得られないのに対し、購買手数料はより広く収入を得ることができる。これは、企業だけではなく、個人という「ロングテール」からの収入もかのうだからだ。
Googleが購買手数料事業で成功するかどうかは、

  1. 大量のアイテムを集め(インプット)、
  2. それらを顧客が望むように的確に選択し(プロセス)、
  3. 買いたい気持ちを最大にするように顧客に提供する(アウトプット)

ができるかどうかにかかっている。
これらは、「情報を的確に提供する」というGoogleのコアコンピタンスそのものである。Googleは、実現してしまうのだろう。

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このページは、thikが2005年10月27日 01:42に書いたブログ記事です。

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