以前軽く紹介した「プロフェッショナル・アントレプレナー」。奇をてらうことなく、基本が詰まっている本ですので、各章ごとにまとめておこうと思います。
まず、第1の法則「有利な産業を選ぶ」をまとめました。
マインドマップを下に載せます(クリックすると大きくなります)。
ベンチャー企業が事業を行おうとする際、対象事業領域の選定には注意が必要である。業種により、明らかにベンチャー企業の成功確率が異なるからだ。その要因は、「知識特性」「需要特性 」「産業のライフサイクル」「産業構造 」の項目で分析できる。
- 知識特性の面では、以下の特徴を備えた業種を選択すべきだ。
- 製造プロセスが単純なこと。複雑な製造プロセスが必要となる場合には、ノウハウ保有の既存大企業が有利となる。
- 多大な研究開発を必要としないこと。知識の創造が大幅に必要ならば、基礎研究に長けた大企業が有利となる。
- 知識が文書化されていること。文書化されていれば、知識の習得が迅速に行える。逆に暗黙知は、経験と人数で勝る大企業に有利となる。
- イノベーションが事業関連者(Valuechain)以外から生まれていること。公共研究機関などのイノベーションの成果を利用できることは、開発投資で不利なベンチャー企業の弱点をカバーすることとなる。
- 企業の付加価値が、イノベーションから生み出されていること。製造やマーケティングに付加価値がある業種では、規模で勝る大企業が有利となる。
- 需要特性の面では、以下が言える。
- 需要規模が大きい業種がベンチャー向きである。既存企業は製造固定費が支出(償却)済みである場合が多いため、小規模市場ではベンチャーが不利となる。
- 需要の成長率が高いほうがベンチャー向きである。成長市場であれ、既存企業の顧客を奪う(=既存企業から反撃を受ける)ことなく成長できる。
- 市場が細分化されているほうがベンチャー向き。既存企業が気にかけていないニッチ市場で生き残れる。
- 産業のライフサイクルの面では、新しい市場(黎明期・成長期)がベンチャー向きである。なぜなら、競争相手が少なく、経験保有者(大概は大手企業)も少ない。また標準が無く、新規で市場参入するベンチャーにとってビハインドが少ない。
- 産業構造の点では、以下の4つが言える。
- 労働集約型産業が良い。資本集約型産業は大企業が有利となる。なぜなら、信用力で劣るベンチャーが低利で資本を調達するのは困難。
- 広告集約度が低いほうがベンチャー向き。広告は時間・空間の両面から繰り返し行うことにより加速度的に効果が高まる為、資本やブランドを持たないベンチャーは不利である。
- 寡占でないほうがベンチャー向きである。
とても「あたりまえ」の内容ですが、それを再確認することはとても意味があります。 また、当然ですが、大企業内の社内ベンチャー(コーポレートベンチャー)は、本書の考えとは別の論理で対象市場を絞ったほうが良いでしょう。たとえは、その企業のブランドが最大限生かせる市場に参入するなどで、新規ベンチャー企業に対抗する方法があると思います。
プロフェッショナル・アントレプレナー 成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造 | |
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