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ベンチャー企業が成功する為には、多数の顧客が購入するスケーラブルな事業を目指す必要がある。顧客は様々な要因で購入する為、初期に購入する顧客セグメントの選び方が重要である。そのためには、購入者の意思決定の予測が必要である。
G.ムーア(「キャズム」)によると、まずイノベータが購入し、マジョリティが続く。イノベータは製品の可能性で購入するが、マジョリティは他者動向や自社にとっての価値(投資対効果)で購入を決定する為、顧客へのソリューションであることを実証する必要がある。新たな価値を提供する商品・サービスには困難だが、マジョリティへの事業を成功させない限り規模感は出ない。
参入すべき市場を検討する際に、市場規模を静的に見積もってはならない。なぜなら、市場自体が時間と共に成長するのに加え、製品が実現する顧客価値は変化する可能性があるからだ。また、製品の普及の時間は、以下のような項目で左右されることに留意する必要がある。
- 高価な製品の普及には時間がかかる
- 理解しやすいものは導入が早い
- 他の補完製品を必要としないものは、導入が早い
- 裕福な市場には、導入が早い。
- 顧客間のコミュニケーションが緊密な市場ほど、導入が早い。
- 金利が安い方が、導入が早い。
- 政治的理由・規制により、導入速度は変化する。
新製品が既存製品の代替製品であるかについても注意が必要である。既存企業が展開する既存製品を代替する新製品を提供できるのであれば、(既存製品と新規製品がゼロサムゲームとなるならば)既存企業を敗北に導く一方法となりうる。しかし、既存を陳腐化させた自社の新製品が、すぐに陳腐化してしまう多段階代替の可能性も考慮すべきである。また、代替製品を駆逐してしまう可能性がある場合には、既存企業からの妨害により、普及が遅延することもある。
前半は、「キャズム」の復習。本文でも、10カ所で「キャズム」が引用されている。ジェフリー・ムーアの「キャズム」は、それだけ優れた書だったという証拠でしょう。本章の前半は「キャズム」以上の考え方は提示していませんが、本書が種々の優れた考えをコンパクトにまとめた「サーベイ論文」相当だと考えれば、納得できます。
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