Freemindで書いたマインドマップは、以下。
テクノロジーの進化のパターンは2種ある。半導体の集積度の向上などでよく見られる既存の考え方の延長での進化と、全く新しい考え方による技術進化である。後者は、既存プレーヤの優位性が無いため、新規ベンチャーとして成功のチャンスが高い。
通常、テクノロジーはフォスターのS字曲線で進化する。そして、S字曲線が飽和する時、全く新しい考え方による新たなS字曲線が始まる。この際、既存企業は新S字カーブには乗り切れない。これがイノベーションのジレンマである。また、ベンチャー企業が新S字カーブの当初から参入するのも得策ではない。新S字カーブの立ち上がりから参入すべきだ。
市場が成熟すると、支配的デザインが発生する。支配的デザイン発生後は、コスト競争となる。デザインは競争にならない。そのため、規模の効果を発揮できる大企業に有利である。新規ベンチャーは、支配的デザインの成立前に参入しなければならない。また、支配的デザインは、最先端技術ではないし、偶然により生まれることもある。
技術標準が確立した後は、優れた技術でも普及するとは限らない。そのため、技術標準を見極めることが必要である。技術標準は、IEEEなどの企業集団の合意や、政府の強制、先手を打つ戦略的行動や他業種と組むことにより利害関係者を巻き込んでしまうことにより実現できる。
事業には、規模拡大に伴って収益が増加するビジネスと、収益が減少するビジネスがある。前者を収益逓増ビジネスという。後者は、収益低減ビジネスであり、石炭の採掘などに見られる。
収益逓増ビジネスが成立する条件は、初期投資が大きく、変動費が少ないこと、及び価値が利用者数と共に増加する「ネットワーク外部性」があることが上げられる。収益逓増ビジネスでの成功条件としては、とにかく先行して顧客を囲い込む必要がある。そのために、顧客の初期投資を下げ、消耗品などで稼ぐ方法が考えられる。また、パートナーを増加させる為に、システムを開放したり、ライセンス供与など・提携などが考えられる。
収益逓増ビジネスは、初期投資が巨額となるため、大きな賭けとなる。一方、一人勝ちを収めることが可能である。
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技術を切り口として、事業優位性を切り開く為の章。技術系のベンチャーが留意する点が詰まっている。特に、「技術が優れているだけでは勝てない」というメッセージは、当たり前なのだがついつい忘れがちである。
尚、S字カーブについては、一ツ橋大学イノベーション研究センターの坂本さんの検討結果「次世代技術の選択と競争戦略(1)」に詳しく記載されている。フォスターのS字カーブと、クリステンセンの破壊的技術の違いなどを論じており、興味深い。また、同氏は、二次電池業界の検討を通じて、新規企業が参入に成功する為の要因の分析も行っている。若干帰納的だが、事実に立脚した見解である点は重要だ。ただし、結論はベンチャー企業向きではなく、ある程度の企業が新規事業に踏み出すときに有用だ。
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