オープンアーキテクチャを自社土俵に引きずり込むマイクロソフト

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マイクロソフトは、汎用(オープン)ではなく自社独自の(クローズドな)アーキテクチャが文化のため、オープンの動向を過小評価することがある。そして、その反動として激しく動く。インターネットエクスプローラの展開が良い例だろう。

マイクロソフトがRSS2.0を独自拡張してOSで標準サポートすると決めた、と、cnetが報じた。RSSが今後インターネットを変えていく、との判断をしたのだと思う。

検索エンジンやポータルサイトを経ずに情報の流通がPeer to Peerで行えるRSSは、従来の商業サイトの広告モデルを変えてしまう力を秘めている。GMOがRSSに広告を載せることを検討しているのは、そのような状態になっても対応できるためだろう。
また、RSSをサポートしているサイトが増えると、サイトを閲覧時にはブラウザではなくRSSリーダを使うようになる(事実、本サイトでも、アクセスするブラウザのトップはSharpReaderだ[中身はIEを含んでいますが])。ブラウザの覇権が無意味になるかもしれない。

このような状況を踏まえ、マイクロソフトはOSにてRSSをサポートすることとしたのだと思う。但し、「標準を自社の寡占製品であるOSに組込む。その際、標準に対して若干の拡張を行う(もちろん、拡張は顧客にメリットをもたらすように行う)」という手段を採った。これは、IE4及び5でNetscapeに止めを刺したときの戦略と同じに見える。 オープンな環境でブラッシュアップされたアーキテクチャ(ブラウザや、RSS)を自社の寡占市場に引きずり込むと同時に自社専用としてしまい、他社の参入及び事業の息の根を止めるという戦略を今回も採るらしい。

マイクロソフトは、自社以外のRSSリーダも駆逐してしまうのだろうか。それとも、RSSリーダというユーザインタフェースの多様化は認めながら、もっと根幹の部分で事業を行うのだろうか。

「根幹」が見通せられれば、「OSにバンドルして全員に容易に配布する」強みを持つマイクロソフトを負かすチャンスも出てくると思う。

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このページは、thikが2005年6月27日 22:32に書いたブログ記事です。

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