Suicaが携帯電話と合体し、JR東日本がカードビジネスを積極的に進めている(JR東日本のプレスリリース参照)。西日本では、阪急及び京阪がPiTaPaでポストペイドを実現した。今後、Suicaもポストペイド機能を持つようになるのではと思う。
鉄道会社は、プリペイドが多かった。これは、当初、「きっぷを事前に買う」のが習慣であり、その延長として「サービスを提供する前に課金する」のが当然だったのだろう。鉄道のICカードの先駆けといわれる香港のオクトパスカードも、プリペイドである。
ポストペイドは、旧来は一部の「信用の置ける」人に対する機能であった。電気・ガス・水道などのライフラインを除けば、「後払い」は与信された人(法人を含む)に与えられた特権だった。
さて、事業者から見たプリペイド、ポストペイドの利点は何だろうか。プリペイドは、その名の通り前受け金を受領する。そのため、事業者は前受け金を運用することで利潤を増やせる。だが、この運用は著しく制限されていると思われる。確実に、細々と利潤を得られるだろう。
一方、ポストペイドは、一見すると事業者からのメリットはないと思われる。しかし、使い勝手がよくなるため、「ついつい使ってしまう」ということが起きる。携帯電話などが良い例だろう。こちらは、前受け金の運用と違い、事業者の本業が潤うこととなる。
「ついつい使ってしまう」ということからしても、鉄道会社はポストペイドに移行する理由はない。電車に「ついつい乗ってしまう」シーンは思いつかないからだ。
しかし、Suicaで買い物ができると事情は一変する。「ついつい買ってしまう」衝動買いは、プリペイドでは機会損失を招く可能性が高いが、ポストペイドでは確実に売り上げられる(与信の範囲内で、だが)。既にViewカードを発行しており与信情報を保有しているJR東日本にとっては、現行のFelicaシステムとクレジットカード課金システムを融合すればよいために、移行は容易と思われる。モバイルSuicaでは、リアルタイムのチャージを行うとのことだが、もう一歩進んでポストペイドにする可能性は十分あると考える。
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