旭硝子の副社長だった著者。現在は並木事務所を開設している。
本書では社長の免許制を論じているわけではなく、日本の会社が、機能集団ではなく人間集団で運営されており、ノン・プロフェッショナルな経営であることを指摘している。
そして、その理由は、株主が社長(経営陣)を選んでおらず、現社長が新社長を選定するために経営が前例踏襲になっているためであり、会長に気を使ってリーダーシップが発揮できない弊害が派生していると主張する。また、社長決定から就任まで時間が無く、自分のビジョン・戦略を描ききれないことや、下が詰まっているから4年程度で社長を交代せざるを得ないなど、日本の会社の特殊事情を述べている。
この「船頭不在」に対しては、改正商法に基づき、取締役と社外取締役中心の委員会を設置するなどとして、コーポレートガバナンスを効かせるしかないと著者は論じている。
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現在の日本の状況を、信越化学や新生銀行、日産などの「プロの社長」の会社と東レなどの「従来の社長」のケースなどを織り込みながら述べている。解決策としてはそれほど突飛な内容ではないが、うすうす気づいていた日本の社長の現状を短時間で理解できる本である。
なぜ社長には免許がないのか | |
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