市川市公認スポーツ指導者養成講習会の2日目

先週の日曜日は、市川市公認スポーツ指導者養成講習会の2日めでした。
場所は、市川駅近くの市川市男女共同参画センターです。消防署の建物の4階から7階にあります。
ここには研修室がいくつかあり、市民が利用することが出来ます。公民館の仕組みと似ていますね。

市川市公認スポーツ指導者養成講習会のカリキュラムは、日本体育協会のスポーツリーダーの科目にあるものと、市川市独自の科目があります。
この日に講義は、2つが市川市独自で、最後の1つがスポーツリーダーに必要な科目でした。

午前:高齢者のスポーツ

午前中は、「高齢者のスポーツ」の講義が2時間ありました。「高齢化」は、いずれはだれでも訪れることです。

加齢による機能低下

加齢によって身体機能が低下します。特に、腎臓機能や肺機能が低下します。
循環器の変化として、心臓肥大や血管の老化があります。これにより、血栓や動脈硬化が起こります。
また体を動かさないことにより、拍出量が低下することもわかっています。
心臓機能の低下は、トレーニングによりある程度改善しますが、骨や関節は一度退化するともとに戻りません。

筋肉量も、年齢とともに低下します。80才までに30~40%が低下するとのこと。また、筋力の低下は筋肉量の低下よりも遅れて始まるそうです。
ひざを伸ばす筋肉(ひざの前側)の方が、ひざの裏にあるひざを曲げる筋肉よりも衰えが大きいです。ひざを伸ばす筋肉は立つときにつかうため、年をとると「よっこらしょ」と立ち上がることになります。

筋肉は、大きな筋肉の方が低下しやすく、またトレーニングの効果もあります。

筋肉には遅筋と速筋がありますが速筋の方が衰えが早いです。そのため、年を取ると動作が緩慢になります。

年齢とともに視力も衰え、白内障が増えます。また聴力も低下し、高音が聞こえにくくなります。

生活不活発病

老化とは別に、「生活不活発病」があります。これは、生活が不活発なことが原因で、全身の機能が衰えることを指します。
具体的には、筋力の低下、関節が固くなる、骨粗しょう症、知的活動の低下、「うつ」傾向などです。
老化は避けられなくとも、生活不活発病は避けられます。

生活不活発病を防ぐために、「アクティブガイド」があります。

アクティブガイドは「+10(プラステン):今より10分多く体を動かそう」をメインメッセージとし、A4表裏1枚にシンプルにかつイラストや図表などを活用し理解しやすいことを目標にまとめられています。

我々の実施したメタ解析では、+10によって「死亡のリスクを2.8%」「生活習慣病発症を3.6%」「ガン発症を3.2%」「ロコモ・認知症の発症を8.8%」低下させることが可能であることが示唆されています。さらに減量効果として+10を1年間継続すると、1.5-2.0kg減の効果が期待できます。

午後1:運動と健康

午後は、「運動と健康」「地域におけるスポーツ振興」です。

運動不足により、大腸がんや乳がん、糖尿病などになりやすくなります。
健康を保つためには、有酸素運動、レジスタンス運動(筋トレ、ウェイトトレーニング)、ストレッチングが有用です。

有酸素運動は、その名の通り酸素を取り込みながら運動できる強度です。強度を測るためにはVO2Maxを測定する方法も有りますが、手軽なのは心拍数を基準にする方法です。
有酸素運動となる心拍数は、心拍の余裕度(最大心拍-安静心拍)の50~60%の心拍数を目安にすると良いです。

レジスタンス運動(筋トレ)の強度としては、高齢者向けには20~30RMが良いとされています。
RMはrepetetion maximumの略で、1MRは1回しか繰り返せないような激しい強度を、20RMは20回繰り返すことができる程度の強度を指します。

ストレッチングは、スタティック、バリスティック、ダイナミックに分けられます。

  • スタティックストレッチは、ゆっくり(10秒程度)掛けて筋肉を伸ばす方法です。一番良く行われているストレッチかもしれません。
  • バリスティックストレッチは、反動をつけながらストレッチします。反動は最初は小さく、少しずつその動きを大きくしていきます。体を温めた後に行うストレッチです。
  • ダイナミックストレッチは、動きながら関節の可動域を広げるストレッチです。
    バリスティックストレッチと同じく、ウォームアップ中に、そのスポーツの動きで使う関節をストレッチする時に使うとよいでしょう。

最後に、「健康とはなにか?」というお話がありました。単に病気でないことも健康かもしれませんし、日々幸せに過ごせることが健康かもしれません。高齢による衰えは誰でもあります。その中で、本人が健康と感じられるようになるのが大切だと思いました。

地域におけるスポーツ振興

地域におけるスポーツ振興として、地域スポーツクラブの必要性のお話がありました。
少子高齢化により、学校単位でのチームが成り立たなくなってきており、地域で支える「クラブ」が重要になってきています。
地域で様々なスポーツを行う「総合型地域スポーツクラブ」 は、日本体育協会文部科学省が施策として推進していますし、また現場も、そうならざるを得なくなってきていると思います。
その際に必要となるのが地域のスポーツリーダーです。

但し、従来の部活の監督やコーチというスキルだけではなく、クラブの運営者としてのマネージャーも必要になってきます。

地域におけるスポーツ振興の講義では、最後の30分で、参加者同士が「どんなクラブを作りたいか」のディスカッションがありました。
参加者の仕事や、参加の動機などは様々です。色々と参考になりました。

次回の講習会

次回の講習会は、2週間後です。「スポーツと栄養」の講義と、実技トレーニングがあります。

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