論理思考力の強化の必要性については言を待たない。本書では、論理展開の開始点である「前提」について、再点検する必要があることを述べている。
本書は3つの章から構成されている。各章とも、「問題→起点(前提)→解決案」という流れに対して、同じ問題でも前提を変えると解決案が変わることを数個の具体例で示している。
例えば、「戦略を考える『前提』」の章では、よく耳にする問題として、「当社は、いつも好き嫌いで戦略の方向性を決めるところに問題があるのではないか。」という課題を取り上げている。これは、
1.問題:(新規事業など)失敗が多い。
起点:戦略を好き嫌いで決めている。
解決案:客観的なデータや分析で科学的に戦略を作る
という論理展開である。一方、「経営や組織から感情を排除することはできない」という前提に立つと、上記の論理展開は以下のように変わる。
2.問題:(新規事業など)失敗が多い。
起点:事業に情熱を持って打ち込む社員が少ない。
解決案:「好き嫌い」をはっきり主張して、それに共感する人を集める
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なお、本書の論理展開も、「一例」である。本書で新たに展開される論理が必ずしも真ではないし、本書で否定した論理が間違っているわけではない。
そして、前提を決めるのは、論理ではなく情緒である場合が多い。著者は、論理志向、結果志向一辺倒な風潮に対して、事業を行う「人」に焦点を当てる必要があるのでは、と言いたいのだろう。
その前提が間違いです。 (講談社BIZ) | |
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