1999年9月のPHP新書。今読むと、著者の主張がそれほど「とんがって」いないようにも感じるが、裏を返せば著者が指摘していた潮流が当たり前になってきたということ。先見の明に感服する。
著者の主な主張は以下のとおり。
- 事業システムは、事業コンセプトから導かれる。事業コンセプトは、「どのような顧客に」、「どのように価値を提供するか」の考え方である。
- 事業システムを決める為の肝は、
- 事業のどの活動を自社で行うか
- 社外の関係者と、どのような関係を築くか
- 製品での差別化と、事業システム(ビジネスシステム)での差別化には大きな違いがある。「目立つ」「判りやすい」「華々しい」「真似しやすい」「長続きしない」のが製品での差別化であり、逆が事業システムでの差別化である。
- (99年当時の)新しい事業システムは、
- スピードを高める
- 組み合わせる
- 集中特化と外部化を行う
- 組み合わせは、既存事業の顧客情報を他の事業に適用するなどで可能となる
本書では、面白い分類をしていた。それは、
価値創造のプロセスは、a.情報獲得、b.意味発見、c.アクション から成るである。前2項については、ITのサポートがかなり進んでいるのに対し、「アクション」についてはヒトに頼る面が大きい。今後は、アクションに対して何らかのサポートが必要となるだろう。
なお、著者は、ITだけに頼るのは危険であるとたびたび主張している。例えば、POSでは売れたものしか判らず、欠品だが人気商品であるもの等の情報が取得されない等の不完全なデータになるためである。私も同意するが、例えば棚の滞留時間の計測などで、より「ベテラン店員の勘所を踏まえた」データが提供できるようになると思われる。
「競争優位」のシステム―事業戦略の静かな革命 | |
加護野 忠男 おすすめ平均 新書でここまで深く書けるのはすごい 加護野先生のエッセンス わかりやすいけど、本格!という印象 情報システム部門にも適した、コンパクトな事業戦略解説本 情報システム部門担当者に適した、コンパクトな事業戦略解説本 Amazonで詳しく見るby G-Tools |
コメントする