原題はHow to grow when markets don't。「ザ・プロフィット」を書いたスラウォツキーの著である。利益モデルを23パターンに分類した同書は、目新しさは無かったものの、MECE的な確認には便利だった(今はもっとパターンを増やして考える必要があるだろう)。
本書では、「成熟した製品は、それ自体の改良では大きく儲ける事が出来ない。そのため、著者は2つの手段を講じるべき」、と説く。
- プロダクトイノベーションではなく、デマンドイノベーションを行う。
- 自社の製品を改良するプロダクトイノベーションではなく、お客様にとって現製品の前後の価値をあわせて提供する「デマンドイノベーション」を行うべき。例えば、薬剤供給業者が、病院内の薬剤流通システムをあわせて提供したり、薬剤自動調合機を提供したりするのが有効。
デマンドイノベーションの鍵は以下。
- 複雑さを取り除き、スムーズな意思決定や顧客の製品・サービスを迅速に市場に送り出す手助けをする。
- 顧客のビジネスにおける固有のリスクや不安定さを軽減する。
- 隠れた資産を利用する。
- 自社には、B/Sに載らない重要な資産がある。それを利用しない手は無い。隠れた資産は以下の通り。
- 従来の無形資産:知的財産、コンテンツ、ノウハウ、コアコンピテンシー、ブランド。
- 顧客関係資産:顧客との相互関係、顧客業界への洞察力・権威
- 戦略的不動産資産:ポータル・アクセスポイント、市場での地位
- 事業ネットワーク資産:ユーザーコミュニティ、製品普及数
- 情報資産:技術ノウハウ、システムなど
- 従来の無形資産:知的財産、コンテンツ、ノウハウ、コアコンピテンシー、ブランド。
- 顧客を観察する視点を製品から経済性に転換する。
- 成長基盤を従来手段(製品、工場、人材)から隠れた資産(顧客関係、市場での地位、情報)へ転換する。
- 会社の規模を成長抑制要因ととらえる考え方から成長機会の増幅要因ととらえる考え方へ転換する。
- 低成長率が基幹ビジネスを食い尽くすと言うマイナス思考から基幹ビジネスを強化する新しい成長構想を導くと言うプラス思考へ転換する
- 市場変革手段と方向性をブロックバスター製品へのk損から、計画的な創造性と経営手腕を基盤とする斬新的な顧客中心戦略の開発へ転換する。
- 成長機会の縮小傾向が続く時代に、利益をかき集めようと四苦八苦するのではなく、視野を広げ、既存市場の5倍、10倍の可能性を持った領域を探す。
- 製品サプライヤーから顧客の経済的パートナーへと移行する。
- 需要を受容する側から、需要創造者へと移行する。
顧客のバリューチェーンに着目し、顧客のノンコアを自社の事業にしてしまうと言う考え方自体は新しくない。本エントリでは省いたが、本書の具体例を物語的に読むのが良いかも。
伸びない市場で稼ぐ!成熟市場の2ケタ成長戦略 | |
![]() | エイドリアン・J・スライウォツキー リチャード・ワイズ 佐藤 徳之 おすすめ平均 ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() ![]() Amazonで詳しく見るby G-Tools |
コメントする