著者は、人的資源及びモチベーションの向上が優れた経営につながることを説き、客観評価による成果主義が育てる経営と逆行していることを述べている。
本書は、2004年に著者が記した「虚妄の評価主義」の続編なのだろうか。同書の引用と、それを踏まえた記述が各所にある。だが、前著を読んでいないthikにとっても、本書の内容は理解できた。
著者の主な主張は、以下の通り。
- 成果主義が上手く回っているように見える日本の会社は、評価が成果主義に合うように、成果主義を「逆算」している。すなわち、評価者の頭の中には評価結果があらかじめ用意されていて、それを満足させる基準を作って、成果主義が破綻していないように見せかけているだけである。
- 日本の企業が上手く回っていたときは、年功序列ではなく日本型年功制であった。それは、「仕事の報酬は次の仕事」「給与は、生活費的な扱い(報酬及び動機付けではない)」という2点に特徴があった。
最後に、やや長いが本書からの引用。
例えば、社長であるあなたが、新規事業あるいは新市場に乗り出すことを決め、新しい部門を立ち上げたとしよう。しかし残念なことに、そのチャレンジは失敗してしまった。そのとき、その部門の人間が成果主義の名の下に責任を取らされ、あなたが、「新規事業に失敗したのは、結果を出せなかった君たちの責任だ」とでも発言しようものなら、これは社員にとってまさに「二階に上がって梯子をはずされる」行為以外の何者でもない。当たり前だが、リーダーは、権限と共に責任も取る必要があるのだ。
“育てる経営”の戦略―ポスト成果主義への道 | |
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