以前エントリしたリーダーを育てる会社 つぶす会社の続き。
昨日に続き、事業部長以上の3つの転換点について抜書きする。
第4転換点 事業部長への昇格
事業部長は非常にやりがいのある仕事である反面、100以上の多数の観点で責任を負う必要があるために非常に難しい仕事である。そのため、自ら形成した部長の組織を信頼し、強い組織を作る必要がある。そして、メンバーが効率的・効果的に働けるように指揮することにより、責任をまっとうできる。
そのためには、サポート部門(人事、財務、法務、会計、保険など)の軽視は避けるべきである。
事業部長が陥りやすい問題点は以下のとおり。
- 平凡なコミュニケーション。これまではある職能に特化したコミュニケーションだったが、事業部長は全職務機能に向けた言葉で事業を語る必要がある。
- 強いチームを形成できない。特定部門(出身部門)をかわいがったり、部長同士がうまくやるように奨励することもなかったりする。どうすれば自部門に人材を集められるかわからない場合もある。
- どうすれば利益が出るかわからない。また、理解していても適切な行動ができない。
- 時間管理の問題。関係者との話し合いの時間が持てない。強いチームを作るより、自分で問題解決を図ろうとする。
- ソフト面の問題を無視する。組織文化やフィードバック、信条などを軽視する。
第5転換点 事業統括役員への昇格
事業統括役員は、事業運営には携わらないため、「面白くない」という人もいる。
事業統括役員は、競合する事業部門に限られた経営資源を分配したり、職務領域を侵さずに事業部長を育成したり、事業間でシナジーを生むようなポートフォリオ戦略を策定して新規事業に参入したり、事業部長やチームの文化を評価したり、数値目標を事業部に要求したりする。
「他人の成功を喜ぶことができる」ことが、事業統括役員の鍵である。
第6転換点 経営責任者への昇格
経営責任者は、以下の5つの課題に対処する必要がある。
- 予想通りの売上と利益を出しつづける
- 企業の方向性を定める
- 企業のソフト面を整備する
- 戦略の実行について優位性を保つ。優れた実行力を持つ必要がある。
- グローバル環境のなかで企業経営を行う。
- 企業の運営方法を知らない
- 社外活動ばかり時間を使っている
- 事業のソフト面に時間をかけない
- 取締役会から同じ質問をされる
著者は、これら転換点のすべてを通過する必要があるという。たとえば、コンサルファームからのヘッドハンティングなどで下位の転換点を通過しない場合には、何らかの対処をすべきであり、さもないと、「現場がわからない管理者」になってしまう危険性があると言う。
本書は、著者が提案する「パイプライン・モデル」の提唱である。最初は著者のコンサルの宣伝本かと思ったが、内容は充実している。本書を読むと、パイプラインモデルの考え方自体はそれほど斬新ではないと思うが、それぞれの階層に要求されるスキルを明確にしたことはすばらしいと思う。
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