4章に続いて、「事業範囲を適切に定める」というタイトルの、5章。
統合型アーキテクチャ(=自前で全て提供する)と、モジュール(分割)型アーキテクチャ(=得意なところに絞込み、他は調達する)の比較をしている。クリステンセン(著者です)の主張は、
顧客の要望に機能的に不足している時期では全部込み、提供物が過剰機能である場合は単品提供
である。その証拠として著者が挙げているのは、以下である。
- IBM system360(モジュール型であり、インタフェースを公開した初めてのコンピュータ)
- Docomo,J-Phoneの独自無線ネットワーク
尚、「顧客の要望」は、変化(上昇)している。ある時は市場の技術では要望に過剰であるが、すぐ後には、要望に不足することもありうる。
* * * *
「投資対効果」とか、「選択と集中(ちょっと古いか)」とかの考えがコンセンサスを得ていると、著者の主張で押すのは、策を弄する必要があるかな。特に、新規技術ベースの事業立ち上げフェーズでは、技術が未熟であることから、「『統合型アーキテクチャ』を選択するべきだ」という結論となる。実際には、リスクミニマムにしたい事業運営者(もしくは投資家)からすると、「なるべくアウトソーシング/アライアンス、コアだけは死守」の戦略をとりたくなるのですよね。そこを、ぐっと我慢して、著者のロジックが信じられるか、というと、なかなか、難しいものがある(ちゅうか、私には無理だな)。
イノベーションへの解(Harvard business school press)

出版社 翔泳社
発売日 2003.12
価格 ¥ 2,100(¥ 2,000)
ISBN 4798104930
企業に平均以上の成長を生み出し、維持し続けるための方法として「破壊的イノベーションのマネジメント法」という前例のない「解」を示す。最新のマネジメント理論に関する知識も網羅。 [bk1の内容紹介]
コメントする