人と人の「つながり」に投資する企業 ソーシャル・キャピタルが信頼を育む

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人と人の「つながり」に投資する企業 ソーシャル・キャピタルが信頼を育む
ドン・コーエン、ローレンス・ブルザック著

原題は、In Good Company How Social Capital Makes Organizations Work。
著者らはナレッジマネジメントのコンサルタントであり、IBMナレッジマネジメント研究所(IKM)との関連が深い(ブルザック氏はIKMの創設者)。

本書では、ソーシャルキャピタルを以下のように定義している。
「ソーシャル・キャピタルは、人々の間の積極的なつながりの蓄積によって構成される。すなわち、社交ネットワークやコミュニティを結び付け、協力行動を可能にするような信頼、相互理解、共通の価値観、行動である」

事業は、それに携わる人によってほぼ決まると言って間違いない。よって、人に投資することが収益向上のための最大のカギである。そして、人への投資は、個々への投資ではなく、人のつながり(=ソーシャル・キャピタル)へ投資するのが最良だ。なぜなら、人は一人で仕事をする訳ではないからである。
 そのため、「個人が働きやすい環境を提供」するのではなく、「複数の人がつながりやすい環境を提供」する。会社へのコミットメントだけではなく、チームへのコミットメントとなる仕組みを作る。人がつながって信頼を醸成するような空間や時間を作る。

従来の日本の企業は、暗黙的に(結果的に)ソーシャルキャピタルに投資してきた。だが、成果主義の旗印の下、コミットメントした成果が上がればプロセスは問わない風潮が増えてしまったと思う。著者らは、一見無駄に見える「人との関係をよくすること」に投資することが、ひいては事業的成功ももたらすと言っている。単なる経費削減や売り上げ増強の「数値」を見るのではなく、数値の元となる「人の関係」を戦略的にとらえる必要があるのだろう。

TV会議ではなく、たまには時間をかけて会いに行ってみるとか、ちょっと寄り道して雑談してみるとか、「業務効率を追求するのをちょっと止めてみる」のも良いのかもしれない。



人と人の「つながり」に投資する企業―ソーシャル・キャピタルが信頼を育む
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このページは、thikが2005年11月18日 01:20に書いたブログ記事です。

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