イノベーションの利益を専有する方法は、5つに大別される。
- 新事業に必須な資源を支配する方法。これは、新事業に無くてはならない、代替不可能な資源を支配することにより、第三者の参入を防ぐことができる。但し、自社で資源を支配できるように、ボトルネックとなっている必須資源を狙うべきである。
- 良い評判を確立する方法。但し、広告は規模の効果が強く働く手法のために、広告によってブランドを確立することはベンチャーにとって不利である。
- 習熟度を上げる方法。学習曲線をたどって習熟度を高めることにより、利益を専有することもでっきる。但し、後発の企業には不利であり、また学習結果を成文化しないことなどによって、他社に容易に学習結果を模倣されないようにする必要がある。
- 先発する方法。この方法は、利用者の増加が製品価値の増加につながる「ネットワーク外部性」を持つ場合に有効である。また、他への乗り換えコストが高い場合にも、先発して顧客を囲い込むことにより利益の専有が可能である。
- 補完的資産を利用する方法。但し、一般的に補完的資産は既存大企業のほうが多く保有しており、本方法はベンチャーに不向きである。但し、補完的資産を外部委託することにより、ベンチャーでも本方法で利益を専有することも可能かもしれない。尚、補完的資産で利益が専有できる、すなわち事業の成否が補完的資産の有無により左右されるためには、技術が成熟してしまっており支配的デザインに収束していて、かつ知財権による保護が不十分で模倣が容易となっていることが必要である。
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