"Growing a Business"が原題。表紙の絵にもあるように、ビジネス(事業)の種を植えて(ゼロから立ち上げて)、育てる時の心構えを述べている。
著者が実際に立ち上げた会社(スミス&ホーケン)の実例をちりばめ、非常に判りやすく、かつ読みやすい本になっている。
本書を知ったきっかけは、OutLogicでの書評だったと思う。いつもながらすばらしい本の紹介に感謝しています。また、既に読了されたshibaさんが、要点をご自身のblogにまとめられています。
本書のキーワード(ごく一部です。非常に示唆に富んでいる本ですので、キーワードの取り上げ方は千差万別になるでしょう):
自分で考えよう、身の丈にあった投資と成長、やるには真剣に、商売のセンスは必要、事業は自分のためではなく顧客のため、人の採用は非常に重要
お二人のエントリで取り上げていた項目:
既に出来てしまった会社をどのように運営するか、というのではなく、やりたいことがあるのだけれどどうしたらいいのか、という人向けの本。体系だった本とは言いにくいが、逆にスモールビジネスのピンポイントを突いているともいえる。
ITバブルの頃、投資家がお金を入れて急激に成長させてIPO、というのが「成功パターン」といわれていた(今もそうかもしれないが)。だが、本書では、あくまでも「顧客」が喜ぶ「自分」が行いたい事業をすることに主眼を置く。「利益のハードルは非常に高く保て」というくだりもあるが、それは決して目的ではなく手段である。
第一章「あなたらしさを実現するために」の最後の文章が、著者の言いたいことを集約していると思う。
「ビジネスをする」ということはお金儲けをさすものではない。あなたが、ほかのだれでもない、あなた自身になるための道なのである。
新たなビジネスを立ち上げようとしている人はもちろん、既存事業を工夫しようとしている人、「金儲け」に走りつつある人なども一度読んでいただきたい一冊である。そして、「こういう考え方もある」ことを理解した上で自分で自分の行動を決めれるのがよいと思う。
なお、訳者(阪本啓一さん。本ブログでも、「企画心」を紹介させていただいた)も記しているように、原著は1987年に上梓されている。事業の本質(そして事業への誤解)は、今でも変わっていないことに驚く。
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