明日は誰のものか -Seeing What's Next 第2章の続き。
3章は、「戦略的な判断-どれが重要な判断なのかを見極める」と題し、「では、イノベーションのジレンマにはまってしまっている、われわれ既存企業は何をすべきか?」について、クリステンセンが答えています。
「破壊のイノベーションによって既存企業が敗退する」というシナリオは、以下の3つの要素で変更可能である。
- 参入企業が、準備を間違う。これは、以下の3つの要因で発生しうる。
- 人が適切で無い。経験の無い人を割り当てる(cf:「イノベーションへの解」 7章)。
- 戦略が硬直化している(「創発的戦略」を採らない)。(cf:「イノベーションへの解」 8章)
- 急速な成長を要求する投資家を抱える(cf:「イノベーションへの解」 9章)。
- 参入企業が、複数のバリューネットワークの構築を目指す。特に、既存のバリューネットワーク(ステークホルダー、チャネルなど)を一部でも利用すると、既存の判断基準に縛られ、破壊が十分に進まない可能性がある(既存ステークホルだの経営資源配分の基準に引きずられるため)。
- 既存企業に、破壊を推進するスキルがある。スピンオフなどで自らが破壊を推進し続ける(cf:「イノベーションへの解」 10章)。
- 企業は適切な戦略の構築が必要な状況におかれているか。企業は臨機応変に使える力をその内部で思い通りに養成できるのか。経営者は先ざき直面する可能性のある問題に正面から取り組んできたのか。かれらは学習する能力を発揮してきたか。
- 投資家の価値観は企業が求めていることと整合性がとれているか。投資家が企業である場合、その成長が滞っていないか。
- バリューネットワークが重なり合っていないか。もし重なり合っているなら、その程度はどれほどか。そうしたバリューネットワークによって不均等のあるビジネスモデルを生み出せなくなっていないか。
- スピンアウトに適した状況か。企業はスピンアウトした組織に対して必要なことを実行する自由を与えているか。
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「イノベーションへの解」の章を引用しながら書いてみた。こうやって見ると、さほど新しい内容は提起していない。だが、著者の主張を、より実践的に捕らえなおして記述している。内容も実例を引用しながら、わかりやすくしている。
原著では、上の1から3の場合において、イノベーションモデルの図がどのように変化するか(それにより、破壊理論が成立しなくなるか)、が描かれている。和訳本だとなくなっているけど、あったほうがわかりやすいと思うな。
明日は誰のものか イノベーションの最終解 | |
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