200ページ弱で、ポイントが簡潔に記載されているのために短時間で読めてしまう。だが、how to本ではない。「企画は何をすべきか」について、本質を記載している。
著者の意図がこめられている章名と、その内容(若干拡大解釈あり)を引用する。
- 企画とは、実行されて初めて企画と呼ぶ
- 実行力の伴わない(実行できない、実行したくない)企画は意味が無い。実行が企画立案者と別になるのであれば、十分な整合が必要。
- 企画書では「企み」を語れ
- 「なぜ」それを行うのが良いのか、「なぜ」必要なのか、という企画立案者の意図(企み)が十分に伝える必要がある。そのような企画書を読む読者は、あたかも推理小説のように引き込まれ、わくわくしながら最後まで読むだろう。
- 「企み」を「戦略」に翻訳せよ
- 「企み」(こうしたい)を「目標」(このようになりたい)に分解し、更に「戦略」(こうやって実現したい)に落とし込む。
- 読みやすい企画書は「自問自答」のスタイル
- 「自問自答」というよりも「他問自答」か。読み手の質問に自然に答えている企画書は、読みやすい。
- 「三の原則」を用いて企画書を削れ
- 全ての項目は、3つに整理して考えるとわかりやすい、という、本書唯一(?)のhow to。「3の原則」は、あちこち(特に紺サルファーム系の本)でかかれていますね。また、ナンバリング(番号付け)の重要さも指摘している。中黒(●)では説明時も面倒だし、重要度の検討もしていないと聴衆に思われる可能性も有る。
- 企画書は「一人歩き」すると思え
- 企画書は提案後に一人歩きする。企画書だけで立案者の「企て」が伝わる必要がある。企画書とは別に説明(and/or説明資料)が必要では、提案先企業での意思決定者に企画の意図が伝わらずに、没になることもありうる。
今、ある企画書作りの最中。企画と実行の両面を見ている為、どうしても戦術面の記述が増えてしまい、「なぜそれが必要か」がおろそかになっている(本書では、それは「実行計画書」と呼び、企画書とは明確に区別している)。そのような企画書をレビューすると、改めて「企て」の部分の記載が薄いことがわかる。なぜなら、レビューで質問されるとすんなりと答えられ、納得していただけるのにもかかわらず、企画書として盛り込んでいないのだ。企画書作りは、自分(及び企画検討メンバ)では当然の前提としてしまっている事柄を、再度確認しながら進む良い機会にもなる。テクニックもさることながら、「良く知らない人にも理解して頂く」というスタンスが必要だと本書を読んで痛感した。
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