プロフェッショナル・アントレプレナー 最後に

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各所でも余り取り上げられていない本書を、章ごとにエントリした目的は、自分の知識の再確認でした。そのため、Webの向こう側に居る読者を余り想定せずに書いていたことをお詫びします。

本書は、各節にチェックリストがあります。更に複数の節を含む章ごとにもチェックリストがあり、駄目押しに終章(ブログにエントリしていません)にまとめが有ります。本文とあわせると、4段構成になっているわけです。
節ごとのチェックリストは、「〇〇してはいけない」と、ともすれば楽観的に突進しがちな経営者にブレーキをかける表現となっています。章のチェックリストは、「〇〇だろうか?」と経営者に再考を促す表現と、Yes/Noでレビューできる表現になっています。終章では、「こうすれば成功する」という本書を凝縮した形式でまとめています。その場その場に応じた形になっているわけです。手元において、ふとしたときにすぐに見返すことも想定した構成でしょう。

Amazonなどの書評を見ていると、「新鮮味が無い」等と書かれています。私も同感です。「これは当然だよね」という個所がいくつかありました。でも、この本は、少なくとも日本では起業成功確率を高める一般論を凝縮した数少ない本として評価すべきでしょう。起業するという実学においての教科書と見れば優れた本だと思います。具体的なtipsなどは無いのですが、それは教科書だからこそ。テクニック論の前に、先ずは基本をしっかり学びましょう、というときには本書は最大の効果を発揮するでしょう。

本書の原題は、"Finding Fertile Ground"といいます。「肥沃な土地を探しましょう」とでも訳しましょうか。プランをしっかり練れば、余力を残しながら成功する事業になり得る。それを見つける為の10の原則を記した本です。誤解を受けずに極論すると、タイトルと各所の評判に惹かれて購入した「ブルーオーシャン戦略」の総論版です(いや、かなり誤解を受けるかもしれないので、99%割り引いて評価してください)。「キャズム」が事業領域を決定した後の戦略、特に4Pで言うところのPlace,Promotionの優れた洞察を提示したり、「イノベーションへの解」が「顧客の用事をこなす」という切り口等の斬新さを提供しているのに比べて、本書は非常に地味です。でも、土台をしっかりしたい時には一度は読んでおく必要がある本だと思います。


それにしても、「プロフェッショナル・アントレプレナー」という邦題はどうかな、と思います。売るためだったら、「勝てるビジネスに仕上げる10のポイント」等、別の題の方が良い野ではないでしょうか。立ち読みでは良さがわかりにくいほんですから、尚更「題」で購入させた後にじっくり読んでもらって、良書と認識してもらう必要がある本だと思います。

最後になり恐縮ですが、本書は、OutLogicで紹介していただきました。良書に出会わせていただいたことに感謝しております。同サイトには他にも優れた書籍が紹介されています。一度ご覧になっては如何でしょうか。


プロフェッショナル・アントレプレナー 成長するビジネスチャンスの探求と事業の創造
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・社会の一番大きな枠組みを学びたい。 ・もっと人とのつながりが広くほしい。 ・もっと楽しくてスケールの大きい遊びをしたい。 ・もっと社会との接点をリ... 続きを読む

再度読み返した。やはり、チェックリスト的に使う本だと思う(本自体もそのような体裁... 続きを読む

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このブログ記事について

このページは、thikが2005年11月10日 01:02に書いたブログ記事です。

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