「私はこうして社長になった」というのが副題だが、本書の意図はそこではない。「何事も全力で努力すれば、結果はついてくる」というのが全体を流れるメッセージだ。
また、「視野を広げる」「勝負時と判断すれば、全力で立ち向かう」「T字型人間を目指せ」「実行あるのみ」「現場を忘れない」などが印象に残った。
05年5月に、日本HPの社長を退任され、ダイエーの社長に就任された。経営者として大変優秀な方だと思うが、最初から優秀だったのではなく「全力でとり組んだ結果、優秀になった」のだろう。
序 章 試練を糧にせよ――目の前の仕事に打ち込めば、成果は後からついてくる第6章から、いくつかを抜粋する。
第1章 仕事の閉塞感――日本企業の技術者だった私がMBAに挑戦した理由
第2章 人格改造講座――ハーバード・ビジネススクールへの留学で手に入れたもの
第3章 実力主義の世界――戦略系コンサルティング会社の徹底した「アウトプット主義」
第4章 外資系の文化――外資系コンピュータ会社で体験した異質の企業風土
第5章 社長という職業――巨大合併の混乱の中で日本HPの社長となって
第6章 激動時代の働き方――経営者としての立場から語る、これからの人材像
- 成果は後からついてくる。
焦らずにコツコツと努力を続ければ、成果は後からついてくる。「ここでふんばらないで、いつふんばるんだ」という気概を持って仕事に取り組むことが肝要だと考える。
- 勝負どころを見極める。
勝負どころで周囲の賛同を得るためには、それまでに実績を積み上げておくことが必須である。小さな成功体験を積んでおく必要もあるし、仕事のパートナーとのコミュニケーションも欠かせない。実績も無いのに「勝負!勝負!」と叫んでいては、狼少年に過ぎなくなってしまうだろう。
そして、本当に自分が信じる勝負どころでは、リスクをとるこをを恐れない姿勢が必要となる。最後は自分が責任をとるという気概を持って勝負に臨む。もしその気概がもてないとすれば、それは勝負どころではないのかもしれない。 - 悩みを構造的に整理する。悩みをMECEに分解することにより、短絡的な答えではない本質的な解決策がみつかる。また、ポジティブに考えよう。
- 身近に助言者を見つける
- スピード感を高める。「仮説志向」「現場志向」「予測能力」を大切にする。
- マインドこそが全て。マインドとは、パッション、オーナーシップマインド、コラボレーティブマインド、スピード感である。
- リーダーの役割は、メンバー一人一人がやりがいを感じ、成長できるような環境を創造すること。メンバーはリーダー以上に成長できない。リーダー自身がどれだけビジネスの現場で格闘したか、その経験に裏打ちされた言動にメンバーは共感する。
「愚直」論 私はこうして社長になった | |
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