「ブルー・オーシャン戦略」ではなく「ブルー・オーシャンへのtips」

| コメント(1) | トラックバック(1)

ブルー・オーシャン戦略について、「著者の主張は、同書の巻末資料B バリュー・イノベーション:戦略の再構築に凝縮されている」との指摘があった。
この部分の著者の主張(と、thikの注)をマインドマップでまとめた。(クリックで拡大します)

blueocean_appendixB

著者は、「外部要因でしかルールが変化しない」という前提での事業戦略を「構造主義」と呼び、競争相手が必ず存在するゼロサムゲームという。巻末資料Bには明示されていないが、レッド・オーシャンを指すのだろう。

一方、「再構築主義」は、「内部の要因で構造の変化を起こすことができる」という考え方である。この考えはシュンペーターを源流して新成長理論に受け継がれた。シュンペーターが構造の変化(=イノベーション)の起因を人に求めたのに対し、新成長理論は組織に求めた。しかし、いずれもイノベーションを実現する手法と特長を明確にしていない。これに対して、著者は、「戦略キャンバス」等のツールを用いることで、容易にイノベーションを起こすことができる、と言う。これが、「再構築主義」だ。そして、「再構築主義」で実現する市場が、ブルー・オーシャンである。



上のようにまとめてみて、
  • 「ブルー・オーシャン」自体は著者のオリジナルではない
  • 「再構築主義」、即ち、ブルーオーシャンを見つけ、その市場で事業を行う為のツール、及び押さえるべきポイントをtips的にまとめたのが本書の価値

であることを改めて認識した。

「ブルー・オーシャン戦略」というタイトルからすると、「ブルー・オーシャン」自体に期待してしまうが、「ブルー・オーシャン『を目指す戦略(という大げさなものではなく、ちょっとしたコツ)』」がかかれている本である、と思って読み始めると、得るものはあると思う。

ブルー・オーシャン戦略 競争のない世界を創造する
4270000708W・チャン・キム レネ・モボルニュ 有賀 裕子

ランダムハウス講談社 2005-06-21
売り上げランキング : 310


Amazonで詳しく見る
by G-Tools

トラックバック(1)

トラックバックURL: http://thik.jp/MT-5.2.8/mt-tb.cgi/555

インプット、アウトプット:『「ブルー・オーシャン戦略」ではなく「ブルー・オーシャ... 続きを読む

コメント(1)

マインドマップは論点を整理するのにいいですね。
新成長理論は、再構築主義に含まれないとする解釈に同感です。また構造主義のツリーにある「結合・再結合」は、シュンペーターの説明だと受け取っていました。いかがでしょうか?

コメントする

このブログ記事について

このページは、thikが2005年7月 7日 21:06に書いたブログ記事です。

ひとつ前のブログ記事は「公衆無線LANのビジネスモデルも広告モデルか?」です。

次のブログ記事は「マインドマップ作成無料ツール:FreeMind」です。

最近のコンテンツはインデックスページで見られます。過去に書かれたものはアーカイブのページで見られます。