ナレッジマネジメントに少し興味を持って、タイトルに惹かれて借りてきた。
本書を読まれている方は、ネットでは既にたくさんいらっしゃる。ユートブレインの北原さんのページ(http://www.utobrain.co.jp/review/2003/101501/)には詳しいレビューが掲載されているし、「We all folow United!:知識社会におけるナレッジマネジメント」では、「知識社会におけるナレッジマネジメント」と題して、ZDNetの飯田さんが書いたGoogleのナレッジ共有の記事から想起された考察がエントリされている。
以上のように、本書については先人たちの記事で十分言及されているので、違った角度から記してみたい。
本書には、「商品生態系」というキーワードが出てくる。北原さんのページでは、
すなわち、現代の市場においては、「顧客の特定のニーズ」を中心に、様々な商品やサービスが結びつくことによって「商品生態系」(product ecosystem)が生まれてくる。例えば、パソコンはその上に搭載する基本ソフト、アプリケーション、周辺機器、サプライ品などとともに「パソコンを楽しみたい」という顧客ニーズを中心とした「商品生態系」を形成している。と記している。G.Moore的に言えば、「ホールプロダクト」と呼べるだろう。すなわち、単独の商品の素晴らしさもさることながら、それを補完する様様な機能により、商品システム(=商品生態系)の価値を向上させている。「生態系」という言葉が妥当かどうかは議論の余地があるが、販売の鍵を握るのは、技術、販売、ブランド等の個別の商品力ではなく、総合的に決まるという点では納得性がある。
北原さんのページでは、
「ビジネス生態系」とは何か。それは、一般に、次の5つの要素によって形成されていると言われる。と書かれている。著者は、「米国ではこれらがシリコンバレーなどの物理的地域に集中することによりビジネス生態系が開花したが、日本では企業の中から開花するのではないか」と述べている。日本で起業しようとすると、まだまだ個人保証での融資が大部分であり、失敗からの復帰を難しくしている。このため、企業がセーフティネットとなって、事業化する人のリスクをカバーしていくのが日本流であろう、と著者は説いている。
第1が「アントプレナー」(起業人材)
第2が「ビジネスプラン」(起業計画)
第3は「ベンチャーキャピタル」(起業資金)
第4は「コンサルテーション」(起業知識)
第5は「レンタルオフィス」(起業施設)
本書全体を通じていえることだが、目次が簡潔であり、本文も数行ごとに分割されていて非常に読み易い。また、主張もさほど突飛ではなく、納得性があった。
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