アドビは、PDFのリーダーを無料にし、PDFの生成側でのビジネスを展開していた。だが、売り切りのビジネス形態のため、顧客から定期的にお金を頂いて事業を成長させる為には、バージョンアップ製品を提供せざるを得なかった。一方、顧客側は、バージョンアップ製品に新たに付加された機能は必要無いが、最新版しか発売していないために、バージョンアップを購入せざるを得ない場合も多かった。
ここに、ローコスト型破壊が生まれる素地があった。
昨年のソースネクストの「いきなりPDF」は、「バージョンアップ製品で新たに付加された機能は不要」というローエンド顧客に目をつけて成功した。PDFを生成することだけに絞り、編集機能などを大幅に削除したのだ。
だが、ローエンドに参入して成功したプレーヤーは、その市場を独占した後は、上位市場に攻め込んでいく必要がある。ソースネクストも、「いきなりPDF Professional」を発売し、少しづつ顧客層を拡大しつつある。
アドビは、ソースネクストの侵攻を許すわけに行かず、「Acrobat Elements」を発表して迎え撃ちに出た。対象とする顧客が明確になったため、彼らの購買決定要因が(ソースネクストが得意とする)価格なのか、(アドビが得意とする)ブランドなのか、で勝敗が決まる(もしくは棲み分けが決まる)。
一方、クセロは、PDF生成ソフトであるクセロPDFを無料で配布している。クセロは自社のSI・カスタマイズ事業に引き込むための広告と割り切っているのだろう。
ソースネクストはソフトウェア販売自体が事業なので、無料にはできないだろう。究極のローエンド型破壊として、無料のクセロが伸びてくるかもしれない。
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