Adobeの買収に見る、メディア生成の独占戦略

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コンテンツクリエイトツールを独占するAdobeは、どこへ向かうのだろうか?

顧客の「困っている」「こうしたい」を叶えるとお金をいただける、というのがビジネスの鉄則。

水平型のモデルでIntel,Microsoftは戦ってきた。これは、「こうしたい」をかなえるための必須となるCPUやOSの有力な提供者だったからだ。そして、他者の提供する機能が顧客の要望を満たすことができず、(3rd party含めての)Intel,MSが提供する機能が唯一要望に一番近かったときには、顧客はそれを使わざるを得なかった。

だが、技術全体の底上げと、AMDの追い上げやMac,Linuxにより、彼らでも顧客が要望するレベルの機能を提供できるようになってしまった。このため、Intel,MSは、唯一の事業提供者であることができなくなってきた。
ハードウェアやOSは、手段であって、解決方法を提供していない。そのため、他に同等の機能を提供するプレーヤが現れると、IntelやMS(のOS部門)は苦戦する。


それに対して、直接価値を提供してきたのが「探したい」のGoogleであるし、「説得したい」のPowerpoint(Microsoft)であった(個人的にはPersuasionが良かったのだが)。

Adobeは、「静止画や動画を作りたい」という顧客要望に対して、Macromediaを買収することによって独占の道を選んだ。一見、クリエイターという小さい市場を独占したようにも見えるが、今はWordやExcel,Powerpointで「文章を作る」ことに甘んじている大量の企業ユーザが、5年後はリッチメディアを作るようになるという読みがあり、そのときの唯一の受け皿として振舞うつもりだろう。

「作る」という要望を実現したAdobeは、次は「伝える」という要望を実現するだろう。既に「静止画・文章を伝えたい」というのはPDFで独占済だ。「動画を伝えたい」「音声を伝えたい」という更に進んだ顧客要望に対して、何らかの手を打つ可能性はあるのではと思う。AdobeがCNNを買収しても、おかしくはない。


メディアの生成・流通を、抑えるのはAdobeなのだろうか。

アドビ、マクロメディアを34億ドルで買収 - CNET Japan という、ビッグニュースに接して。

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このページは、thikが2005年4月18日 22:00に書いたブログ記事です。

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