Wiredに、Apple Iのレプリカを作ろうという記事があった。
たまには、気楽に、昔の思い出をエントリー。AppleIはさすがに知らないので、AppleIIのお話を。
『赤本』
といっても、大学受験との時にお世話になる、あれ、ではない。AppleII reference manualだ。AppleIIの全てがかかれたA4サイズのソフトカバーの本(冊子)である。回路図、ソースコード(といっても6502のアセンブラだ)があり、AppleIIのレプリカを作ることもできた(事実、マザーボードと部品が秋葉原で売っていたぉぃ)。
最先端のコンピュータハードウェア・ソフトウェアを実地で学べる、素晴らしい教科書だった。目を輝かせながら、ソースコードをリバースエンジニアリングをしてフローチャートを作ったり、回路図からタイムチャートを起こして改造案を考えたりした。コンピュータオタクが書いた、オタク向けの本だった。「これをもとに、より良い物を作ってね」という、オープンソースの走りだった、とも言える。
AppleIIのCPUである6502は8bit 1MHzで、レジスタが少ない(3つ、かな)代わりに豊富なアドレス指定方法が特長だった(index-indirectとか、indirect-indexとか、スパゲティプログラムご推奨の楽しい物があった)。そのため、「256個のレジスタを持っているCPU」などと言われたりした。このため、上手に(綺麗に、ではない)記述すると、非常にコンパクトなコードになるが、真面目に記述するとコード量が多くなる。オタク的プログラミングスキルが最大限要求されるCPUだった(Wozも、データ列に命令コードを埋めたりして、コード量を削減していた。コンパイラは絶対吐かないコードだ)。
ハードウェアも、Appleは「トリッキー」だ。TVを出力装置として使うが、真面目にカラーを実現すると各ピクセルに多ビットを割り当てる必要がある。AppleIIは、TVのカラーバーストをうまく使い、ピクセルごとに「出せる色」を限定することにより、ハードウェアを増やすことなく擬似カラーを実現していた。その他、TVに必要なアナログ系の信号をTTL+CRで組んだり、74シリーズをパズルのように組み合わせたり、とか、オタク度満開(でも、高性能)のマシンだった。
クリステンセン流に言えば、極めて統合化されたアーキテクチャと言える。だが、当時の貧弱なコンポーネントでは、それが必要だった。
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オリジナルAppleIIのCPUは、1MHzで駆動していた。秋葉原で更に高速の6502B(2MHz)を購入し、CRT周辺回路を若干変更し、倍速で動作させていたのが、懐かしい。
AppleIIのキット、再販されないかなあ。
と思っていたら、赤本がwebに載っていた。
http://www.apple2world.jp/apple2/COL/MapItems/manual/redbook/RedBook.pdf
さすがに、これは、Amazonでは売っていない。ISBNなんて無いし。
でも、そのスジでは、19,800円だそうだ。
Apple I Replica Creation: Back To The Garage TOM OWAD Steve Wozniak
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