イノベーションへの解 終章

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イノベーションへの解 終章「バトンタッチ」。クリステンセンから各企業の新規事業関連者へ「バトンタッチ」をします。

新事業を立ち上げる際には、戦略の周到な検討や将来の技術予測は不要であり、初期条件と事業構造を正しく整えればよい。具体的には以下。

  • 低価格ラインで利益を確保する。
  • 無消費(使っていなかった)顧客を攻略する(2章)。
  • 顧客の「用事」に着目すること(3章)。
  • これから金が向かう場所に進むこと(6章)
  • 経験を積んだマネージャーに任すこと。従来のプロセス・価値基準を適用しないこと(7章)。
  • 有効な戦略が見つかるまではボトムアップ的・現場主義だが、戦略が見つかったらトップダウンで進めること(8章)。
  • 成長を気長に待てる資金で始めること(9章)。

「イノベーションへの解」を求める経営者への助言は以下。

  1. 実績ある競合企業に魅力的に映る市場への戦略は、絶対に避けるべき。競合が喜んで撤退する市場を探すべき。
  2. 既に優れた製品を使っている顧客への事業計画は止めて、無消費層への事業戦略を採ること。
  3. 無消費層がどうしても見つからない場合は、ローエンド型の破壊戦略を採るべき。
  4. 顧客が片づけようとしていることを、更に手軽に、安価にこなす方法を探ること。顧客に負担をかけないこと。
  5. 計画のセグメンテーションは、顧客が片づけようとしている用事で分類すること。自社組織の区分で分類したり、いわゆる統計情報で分類するのや止めること。
  6. ローエンドに目を向けること。
  7. 破壊的製品やサービスが不十分な状態で、業界標準を目指すべきではない。当初は独自アーキテクチャ。顧客に要望を満足できる製品が提供できるようになって競争基盤が変化したら、モジュール方式や標準化を考える。
  8. 自社のコアコンピタンスと適合するから成功するとは限らない。以下のことを考える。
    • 成功するための資源があるか?
    • 自社の従来のプロセスは、新事業の成功に役立つか?
    • 自社の価値基準に照らすと、この計画は他計画よりも優先するか?
  9. バリューチェーンの各社にも、上記価値基準が当てはまるか?
  10. 新事業のマネージャーは、過去の課題への取り組み方と、新事業が直面するであろう課題を照らし合わせて選定すること。
  11. 新事業立ち上げの数年間は、最良の戦略を、迅速に、ひたすら探索させること。
  12. 利益は気短に急かすこと。
  13. 成長を気長に待てるように、会社の(従来事業の)成長を持続させること。

* * *
読了しました。ですが、これから何回も読み返すことになるでしょう。それほど、本書はすばらしいです。コーポレートベンチャーを目指す人も、コーポレートベンチャーをサポートする人も、もちろん上級役員も、皆、自分の課題に照らし合わせながら読む必要があります。
不特定多数に向けたBlogでしたので、私自身の課題に照らし合わせた結果を具体的に記載することは残念ながらできませんが、自分の戦略のいくつかを見直す必要があることがわかりました。

次は、キャズムを読んで、具体的な戦略の見直し方法を考えたいと思います。



イノベーションへの解(Harvard business school press)
クレイトン・クリステンセン著・マイケル・レイナー著・玉田俊平太監修・桜井祐子訳

出版社 翔泳社
発売日 2003.12
価格  ¥ 2,100(¥ 2,000)
ISBN  4798104930
企業に平均以上の成長を生み出し、維持し続けるための方法として「破壊的イノベーションのマネジメント法」という前例のない「解」を示す。最新のマネジメント理論に関する知識も網羅。 [bk1の内容紹介]

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このブログ記事について

このページは、thikが2004年10月10日 09:02に書いたブログ記事です。

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