事業の環境変化に追従できなかった?タビニの閉鎖

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航空会社各社と、米国Travelocityが出資した旅行サイト「タビニ」が、8月31日で営業を停止した。
理由は、「市場が予想ほどに拡大しなかった」(Internet Watchより)と言っているが、そうではないと思う。出資者の当初の狙いから外れたために清算されたのだと思う。

飛行機の予約システムしか持たない航空会社が、ホテルやレンタカー等の予約も併せ持って、「旅行の事前準備」を一箇所で可能にすることを目指したサイトがタビニだった。出資は、米国のオンライン予約のTravelocity(資本はSabre Holdings)と日米の航空会社という、「販売代理店と商品供給元達」の組み合わせだった。

当時は、既存の旅行代理店(JTBなど)や数少ない卸売り店(アップルワールド、JHC)がホテルを抑えており、航空会社が単独でそれらの予約サービスを提供することは不可能であったのだろう。レンタカーもFIT市場ではニーズが少なかった為か、海外の代理店は少なかった。そのため、米国のTravelocityからシステムを輸入し、自社(航空会社)及び(多分米国の)ホテル・レンタカー会社から商品の供給を受けた。

911で市場が縮小する中、顧客の囲い込みと経費節減のために航空会社は「中抜き」を始め、自社サイトからの直販に力を入れた。マイレージによるロイヤリティ顧客の増加も、直販を後押しした。そのため、従来は航空券の7%程度といわれている代理店への手数料を引き下げた。結果、代理店によっては、顧客から発券手数料を徴収する場合もあった(Travelocityは、$5を徴収したと思う)。こうして、代理店と航空会社は従来のパートナーから競争相手となってしまった。また、タビニ自体も、航空会社のサイトと競合するようになり、存在価値を失った。

が、そもそも、タビニが想定とした市場は存在したのだろうか?
対象顧客層(個人旅行者=FIT)が、旅行を計画する「過程」に興味があり、ワンストップソリューションを求めていなかったのもあるのではないか。ネットサーフィンで、激安価格や評判のホテルを探すのを厭わない顧客だったのではとも思う。そうであれば、当初から目論見がずれていたことになる。


タビニが解散。うーん、タビニは使っていませんでしたね。
飛行機:
正規航空券(PEX含む):各航空会社での予約
IT:最安値をab-road.netなどで検索、面倒なときは良く知っているところにコンタクト
宿泊:
ホテルチェーンサイトで予約
各地区に強いサイトで予約
車:
avisやhertz,budgetで予約。命にかかわる(?)ので、レンタカー会社は大規模チェーンに限定。
という感じで使っていました。タビニのサイトを知らない人も多かったのでは、と思います。B2Cのモデルは、B2B以上に難しいかも(その代わり利益も大きいのでしょう)。

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このページは、thikが2005年9月 3日 01:10に書いたブログ記事です。

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